出版社内容情報
人生の闇と光を炙り出す。桜木ワールドを凝縮した傑作
奔放な実母・咲子とも、二度目の結婚で産んだ娘・やや子とも生き別れた塚本千春という女。昭和から平成へと移りゆく時代、血縁にとらわれず、北の大地をさすらう千春は、やがて現代詩の賞を受け、作家を夢見るが……。千春の数奇な生と性、関わる人々が抱えた闇と光を、研ぎ澄まされた筆致で炙り出す珠玉の九編。直木賞作家・桜木紫乃の真骨頂!
新井見枝香さん(エッセイスト・踊り子)激賞!
「桜木紫乃は、その小説にどうしても必要な言葉しか残さない。だから私は、一言一句漏らすまいと、?り付くようにして読む。」
内容説明
奔放な実母・咲子とも、二度目の結婚で産んだ娘・やや子とも生き別れた塚本千春という女。昭和から平成へと移りゆく時代、血縁にとらわれず、北の大地をさすらう千春は、やがて現代詩の賞を受け、作家を夢見るが…。千春の数奇な生と性、関わる人々が抱えた闇と光を、研ぎ澄まされた筆致で炙り出す珠玉の九編。直木賞作家・桜木紫乃の真骨頂!
著者等紹介
桜木紫乃[サクラギシノ]
1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞。07年同作を収めた『氷平線』で単行本デビュー。13年『ラブレス』で島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で直木三十五賞、20年『家族じまい』で中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てつふふ
22
主に道東を舞台に、祖母に育てられた千春を軸に数十年にわたるストーリーが描かれている。各章の間に隠されたドラマは自分で想像しなければならなかった。凍れる空気の中で淫靡な光を放つ星々だった。これまで読んだ桜木さんの小説のなかで最もインパクトがあった。踊り子さんの解説がよかった。2024/11/08
れい
5
【図書館】最後には千春目線で描かれた短編も出てくるんじゃないかと思ったけど、無かった。千春からみたら、全てのことが違って見えるんではないかと感じたから。主人公でありながら本人の考えていることや感じていることはあまり分からない。ただただ不幸にのまれながらも、運命を呪うことなく、そのばその場をなんとか乗り切っているような印象。なんとなく無機質な感じ。2025/02/19
咲
2
読後、新装版の表紙から連想したのは、心理学の「愛情の器」だった。いくら愛されたり大切にされたりしても、受け取る側の「器」がない場合や、あったとしても、底に穴が空いていたり、壺のように口が狭かったりした場合、愛情を受け入れて留めておくことが難しい、という話だ。物語は咲子→千春→やや子と繋がっていく。母にはなれないと、やや子の元を去った千春の言葉は、時を経て、角が丸くなった硝子の破片とともに体内から取り出され、人を介して物語となり、やや子の器を修復する。背後では、星々が見守るように等しく光る。素敵な表紙だ。2024/12/23
商業主義の地獄ゆき
2
桜木紫乃さんの書く本どれも好きなのだけどこれは全く響かなかった……。誰かどうしようとそれがどうしたの?と思えてしまった。主人公(たち)がほとんど語らず、第三者からの視点で綴られているからかもしれない。ただの好き好きの感想じゃんとしか思えなかった。時代もあるのだけれどただただ失礼と思う部分もあり。(それが第三者の見方なのだろうけど) 素晴らしいと思えない私こそが「愚鈍」なのか?と思わされた。ただ好き勝手して生きてきた人たちを「それぞれ輝いている」と肯定はできないかな。2024/12/08
アーク
1
夜明けに消えていく星のような儚さを感じさせる小説だったな。幾人かの登場人物たちの人生を通して、その光を描いていくような内容だった。北海道という厳しい自然の大地だからこそ、登場人物たちの心情が浮きだってくるような気がした。心にじんわりと沁みた一冊。2025/03/25