出版社内容情報
将棋の世界で歩む7人を
あたたかな筆致で描く感動作
藤井聡太二冠の師匠・杉本昌隆八段も共感!
「絶対棋士になってやる」と誓った中学1年生の祐也だが、次第に勝てなくなり学校の成績も落ちてきて……(「それでも、将棋が好きだ」)。青春・家族小説の名手が、プロを目指す中学生、引退間際の棋士、将棋会館の清掃員など、勝負の世界で歩みを進める人々のドラマを生き生きと描く珠玉の短編集。第31回将棋ペンクラブ大賞文芸部門優秀賞受賞作。
「将棋の厳しさ、楽しさ、人の情を感じる作品。最後は師匠目線で読みました」
――杉本昌隆八段(解説より)
装画? 高杉千明
内容説明
「絶対棋士になってやる」と誓った中学1年生の祐也だが、次第に勝てなくなり学校の成績も落ちてきて…(「それでも、将棋が好きだ」)。青春・家族小説の名手が、プロを目指す中学生、引退間際の棋士、将棋会館の清掃員など、勝負の世界で歩みを進める人々のドラマを生き生きと描く珠玉の短編集。第31回将棋ペンクラブ大賞文芸部門優秀賞受賞作。
著者等紹介
佐川光晴[サガワミツハル]
1965年東京都生まれ、茅ヶ崎育ち。北海道大学法学部卒業。2000年「生活の設計」で第32回新潮新人賞、2002年『縮んだ愛』で第24回野間文芸新人賞、2011年『おれのおばさん』で第26回坪田譲治文学賞、2019年本作『駒音高く』で第31回将棋ペンクラブ大賞文芸部門優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
228
7章からなる連作短篇オムニバス進行。どの章でも、それぞれの立場で将棋に向き合う姿を描いているのですけど、それ以外の背景を、生い立ちなど過去にも遡って丁寧に描き上げているの超好感です。どの話も本当に良いのですが、強いて挙げると『大阪のわたし』は主人公が意外過ぎて良い( ¨̮ )。『光速の寄せ』は詰ませたのは一体どちら?でも名局はお互いの棋力が拮抗し、最善手を続けてこそ生まれると聞きますしね。解説杉本さんの一言がまた良い(*˙˘˙)。『最後の一手』は熱い勝負魂と潔い引き際が格好良い(๑•̀ㅂ•́)و✧。2022/09/21
じいじ
84
ヘボ将棋でも負けると悔しいものだ。ここに登場するのは、将棋のプロを目指す若者たち。遊びごとではないので、彼らの胸中は察するに余りあります。彼らの夢は、七冠を独占した羽生善治であり、いま注目を浴びる天才棋士・藤井五冠らと闘うことであり、勝つことだろう。今作の主人公は、学校へ行く合間を縫って「将棋会館」へ足を運ぶ研修生たち。順風満帆の少年に突如訪れるスランプ…。その健気さに胸を打たれます。「負けんな、ガンバレ!」と、思わず無言の声援を送っていました。2022/11/16
さっこ
70
将棋を覚えたての子供達からベテラン棋士や新聞記者などさまざまな人たちの将棋との人生。少し連作の形をとった短編集。将棋だけではない人生の悲喜を描きながら、勝負という世界を多角的にとらえた作品。好きだけでは夢を叶えることの出来ない勝負の世界において、少年たちのひたむきな思いが伝わってきます。2021/08/29
海燕
16
新年最初に読了。将棋を巡るあの人この人を取り上げた短編集で、どれも心が温まる話だ。例えば、将棋会館で頑張る子どもたちに影から声援を送る掃除のおばさん、奨励会を目指しながら叶わず断念に至る少年、控室で対局を見つつ予想した次の一手が敗着手となるジンクスを持つ観戦記者、といった風。著者のやさしい眼差しからは将棋に対する愛が感じられてよい。棋士への道は険しく遠く、各地で天才と呼ばれる少年が集まりしのぎを削っている。競争の世界は温かいエピソードばかりではなく、夢破れて去り行く者たちの知られざる物語があることだろう。2023/01/03
緋莢
13
将棋を題材にした7編を収録した連作短編集。将棋を覚えて、順調に勝ち続けるも年下の子に負けてしまった小学生や、奨励会を目指して頑張るも、研修会で勝てなくなってしまった中学生、対局中にくも膜下出血を起こした棋士が再起を目指すなど、将棋を指す人が主人公の話もありますが、同時に将棋会館で清掃員をしている女性や娘が見せる将棋の才能に困惑する母親が主人公の話もあり、ユニークです。 この対局どうなるんだろう?と手に汗握る部分もありますが、それが主という訳では無いですし(続く 2021/06/15