出版社内容情報
バイト同士や客との間でおかわりできない人生が日々交錯する――注目の著者が「牛丼屋」を舞台に描く傑作お仕事エンタメ!
内容説明
牛丼屋をめぐる悲喜交々は24時間、年中無休。子持ちの主婦パート・恵は年下バイトとの浮気に溺れ、仕事もサボりがち。生真面目な働きぶりで店長の信頼も厚いおデブな女子大生・日和は、恵の身勝手な言動に業を煮やし、逆襲を試みるが―。従業員間のトラブル、客との交流、店長の恋…牛丼屋で交錯するちょっとワケあり人間模様。要注目作家が贈る異色の連作群像劇!
著者等紹介
小野寺史宜[オノデラフミノリ]
1968年、千葉県生まれ。2006年、「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。08年、ポプラ社小説大賞優秀賞受賞作『ROCKER』(ポプラ社)で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まさきち
98
一軒の牛丼屋を舞台に繰り広げられる3編からなる短編集。登場人物が知らず知らずのうちに絡み合っており、そのことに気づきながら読み進めると非常に面白い物語。冒頭では人間のどろどろした部分を見せられて少々気がめいりましたが、最後にはそれを見事に浄化されて晴れ晴れとした気分で読み終えることのできた一冊でした。2020/09/12
紫綺
85
「牛丼愛」改題。単行本にて読了。え?これ、小野寺さんの作品?って思うくらい出だしはイヤなヤツばかり。でもイヤなヤツもいいヤツなんじゃないかと思えるくらいハッピーエンドだった。牛丼食いたい‼2019/11/10
えみ
69
積極的になり過ぎない、でも消極的にもならない。人生それが一番。多すぎず、だからといって少なすぎない。それが並盛、「普通」の人生。とある牛丼屋を主体として笑いあり涙ありの人間模様が、ある時点で交差し、ある時点では融合していく連鎖物語。ここの牛丼屋の牛丼はきっと、惨めであり可哀想である…が、愛おしい人間の様々な貌が覗けるちょっと苦めの大人味!どこにでも困った人間はいるけれど、異常者偏屈者犯罪者など危険人物が特盛…いや、メガ盛りで溢れてる。牛丼は許されるが人生の盛り過ぎは思いがけない結末が待っているので要注意。2021/05/15
kotetsupatapata
58
星★★★☆☆ 小野寺作品にしては珍しくクソ人間のオンパレードで、この作品どこへ向かうのかとハラハラさせる異色の物語だと思います。 名木やW不倫の米村夫妻にも腹立ちましたが、恵は救いようの無いクズ女ですね💢 でも実際こういう奴世間にごまんといるんだよな~😭 そんな中、日和と準一は愚直なまでの真っ直ぐさで、世の中にすれた小生からすると、「もっと要領良く立ち回らないと」と心配してしまいますが、そんな二人だからこそ、周りも感化されて助けるのでしょう ところで無言電話の犯人は恵だったのかな? 2021/02/27
のびすけ
42
嫌悪感たっぷりの第一話から始まって、色々な人の物語が少しずつ繋がるナゾの第二話。「これって短編集?」と思ったら、第三話でそれまでの物語が見事に1つに繋がる。第二話以降の物語が集約していく展開が面白かった。けど、第一話の日和の容姿をけなす言葉の数々は嫌悪感しかない。作家さん初読みだけど、他の作品も読んでみよう。2020/08/29