出版社内容情報
東京・八王子の置屋「夢民」に在籍する五人の芸者たち。彼女たちは人生の逆境をのりこえて最高の芸を見せることができるのか!?
内容説明
東京八王子の置屋「夢民」の新人芸者・弐々(杉浦晴子)は元女子高生。大学受験に失敗、恋人とも別れてなぜか芸者の道へ。「夢民」には他にも元丸の内OL、元キャバクラ嬢、元看護師のシングルマザー、そして元女子プロレスラーなど個性的な面々ばかり。彼女たちは人生の逆境を乗り越え最高の芸を見せることができるのか。そして恋の行方は…!?
著者等紹介
山本幸久[ヤマモトユキヒサ]
1966年東京都生まれ。中央大学卒業。編集プロダクション勤務などを経て、2003年「笑う招き猫」で第16回小説すばる新人賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
85
★★★☆☆23049【芸者でGO! (山本 幸久さん)】メインとなる人物を各章ごとに切り替えていくタイプの構成で、同じ置屋に所属している芸者さんたち五人の話でした。テレビや映画でのお座敷遊びシーンといえば『とらとら』をよく見かけます。虎、和藤内、おばあさん、作品内でその説明が書かれていました。なるほど、そんな意味があったんですか。作品にはありませんでしたが、メジャーなものでは『投扇興』もありますよね。扇子を飛ばすなど、とても空気力学的に困難なことをしてるんですが、偶然性もあって面白いのかもしれませんね。2023/07/15
はつばあば
82
昔は芸者さんになる人ってワケアリの人が多かったんじゃないかしら・・と思いながら表紙の楽し気な芸者さんに惹かれて購入。八王子の芸者さんも祇園の芸者さんもその他の地方の芸者さんも同じように恋と仕事に頑張ってはるのやろねぇ。昔と違って家を助ける為に売られたとかじゃなく、自分から芸者にならはったんやからカラッとしてて気持ちがいい。男を見る目も養えるし(^^♪。ただ・・芸事やから「誰でもなれる」ってものではない。?はつならば・・置屋のやり手婆・強欲婆ならできる・・かも(^^;。2017/06/23
dr2006
58
八王子を拠点に活躍する、経歴(元看護師、元レスラー、元OL、元キャバ嬢、新人)も様々な5人の芸者たちのお仕事物語。連作で夫々の視点で相互に書き分けられている為、心情の理解とキャラへの親しみが増す。同作者の「ある日アヒルバス」の主人公デコも登場し盛り上げ、山本作品へのある種の期待を裏切らない(笑)稽古等、芸への真摯な取組みと社会人としての振る舞い、地元との交流や貢献に感心、一方で彼女達の恋の行方は? 予定調和で大団円だけど安心して読める抜群のエンタメ性。クスっと笑えて爽快な気持ちになれる作品。良かった。2018/04/02
したっぱ店員
56
山本さんのお仕事群像話が大好き。今回は全くなじみのない芸者の世界。八王子に芸者さんいるのね!と、そこから?な門外漢の自分にもすっと入れる読みやすさ。諸々背負っている人もあっけらかんとした人も、女性キャラは魅力的。先が気になる話もあり、続きを書いていただきたいなあ。2018/10/21
再び読書
49
いきなりデコが出てくるのが嬉しい。個性的な芸者たちが面白い。変な名前だと思っていたらムーミン(夢民)のオマージュでした。ミイにスナフにモランとはわかるが、ニニ(ニンニ)、トテキ(トゥーティッキ)は難問でした。しかし、全編に流れる人情味が良かった。弐々の上原との復縁に?「男は顔より肉体」と豪語する未似のその後が気になります。戸川純になりたかった元看護師茂蘭の息子愛も愛らしい。純情がそのまま服を着たような元女子プロレスラー兎笛の一途、辛い過去を持つ元OL寿奈富の貴国メイとの最後のエピソードが良い。2021/02/13