内容説明
新宿行きスーパーあずさの車内で、ペンション経営者の男性が毒殺された。目撃証言によれば、被害者の宮沢は死の直前に謎の女と会話をしていたらしい。長野県警刑事・道原伝吉は女の正体を探るために宮沢の故郷である蝶沢村へ向かうが、その生い立ちには深い闇があった―。北アルプスで起きた過去の不審死事件をも巻き込む、この悲劇の真相は!?
著者等紹介
梓林太郎[アズサリンタロウ]
1933年長野県生まれ。80年『九月の渓で』で小説宝石エンタテインメント小説大賞を受賞しデビュー。山岳推理小説の第一人者として活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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尾塚
9
道原伝吉シリーズ。スーパーあずさの車内で毒殺された男。遭難で事故死とされた男。二人は同じ小学校の同級生だった。雪降る駅のホームで射殺された男の未解決事件が一挙に。さすがベテラン作家。話のテンポがよく一挙読み。相変わらず怪しげな登場人物が次々に。山岳での物証を探すのって大変なんだろうなぁと。小説では200以上の捜索員が山中を歩くんですが。実際は簡単じゃないですよね。このシリーズも面白い。次作が楽しみ。 2016/09/30
yamakujira
5
特急列車の車内で男が毒殺された。捜査を進めるうちに、大糸線ホームでの射殺事件と常念岳での遭難事件という過去の事件も話題にのぼる。列車内で被害者と会話していた女、被害者の元愛人、そして小学校の同窓生と、次々と浮かぶ容疑者を追う。ちょっと古い時代背景を味わいながら、豊科から松本、東京、札幌、浜松と動く旅情も楽しめる。犯人の動機を疑う野中課長の気持ちに共感する一方で、こんな人間もいるのだろうと納得してしまう。目をみはるようなトリックはないけれど、テンポよい展開でサクッと読めてよかった。 (★★★☆☆)2017/03/31