内容説明
大腿骨を骨折したマンボウ氏。さっそく娘による「スーパーリハビリ」が始まった。毎朝、腹筋と散歩。そしてなぜか、旅から旅の日々。妻・齋藤喜美子が語る「マンボウ家の五〇年」と娘・斎藤由香による「あとがきに代えて 父が遺したユーモア」収録。絶筆を含む最後の連載エッセイ集。
目次
骨折騒動記
マンボウ入院記
軽井沢へ
肺炎で又もや入院
ハワイに連れて行かれた事
ハワイから帰国した翌日に、もう苗場へ
スキー場から帰ったら、熱海へ
又もや箱根へ
どくとるマンボウ昆虫展
上高地再訪〔ほか〕
著者等紹介
北杜夫[キタモリオ]
1927年東京生まれ。東北大学医学部卒業。船医となり世界各国を回り、その体験を書いた『どくとるマンボウ航海記』がベストセラーになった。60年「夜と霧の隅で」で第43回芥川賞受賞。64年『楡家の人びと』で毎日出版文化賞、86年には『輝ける碧き空の下で』で日本文学大賞、また98年には茂吉評伝四部作で第25回大佛次郎賞を受賞。2011年10月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
103
2011年に逝去された北杜夫氏の最後のエッセイ集。大腿骨を骨折しそのリハビリ中の旅行や家族のこと、思い出話など。北杜夫氏といえば私の場合はなんと言っても「どくとるマンボウ航海記」である。中学生の時読んであまりの面白さのファンになってしまった。ユーモアという言葉を理解できたのもこの頃かもしれない。その頃に比べるとユーモアのキレはあまりよくないがそこは加齢もあって仕方がないと感じた。本書の中で私も好きな「楡家の人々」のことを一番いい作品と書いていたがまさにそのとおりだと思う。機会があればまた読みたい。2022/04/10
紫草
6
10代と20代の一時期、北杜夫さんは私の1番好きな作家でした。亡くなる前の最後の日々に、しきりと昔を思い出してその頃のことを書いていらっしゃる北さん。私もその頃の作品を思い出し、懐かしく、寂しく、読みました。転んで骨折された北さんに、厳しいリハビリを課し、リハビリを兼ねた旅行に連れ出す娘の由香さん。痛い、疲れた、とぼやきながら従う北さん。全編ほとんど北さんの泣き言なんだけど、家族の温かい気持ちがとても伝わってきます。いつものマンボウ先生のユーモアあふれる文章ですが、やはり寂しくて笑いながらも涙です。2016/07/05
きまたよ
4
ドクトルマンボウこと北杜夫氏の晩年の家族旅行を中心にした作品。奥さん、娘さんの文章も後ろに付く。骨折のリハビリを兼ねて娘さんにいろいろな場所に連れて行かれ、文句を言っているけど、素直についていっているのはやはり家族だな。昆虫の話が多く出てきているのはやはり一番好きなことに回帰してきたのかとも思う。最後の時の医療機関の処置に不満もあるような文章もあるけど、やはり死とは突然で一人なのかな。うちらみたいな年寄りは読んでおくべきだろう。 2015/01/11
はちくま
3
マンボウ御大は、最後までマンボウ御大だったのだなと。笑いながら読んで、最後のページを閉じるときに泣きそうになる。亡くなられたときの話にも、いろいろ考えさせられた。未読の小説もいくつかあるので、ちゃんと読もうかな。2014/12/27
Takahide✈Yokohama
2
久々の北杜夫。老化或いは認知となった状態でもこれだけしっかりとした文章が書けるものなのね。2019/08/02