内容説明
16世紀末、豊臣秀吉率いる日本軍が朝鮮半島を侵攻した。朝鮮の義勇軍に参戦していた僧兵・元信(ウォンシン)は日本兵に捕えられるが、処刑されず鉄仮面を被せられ、日本に連行される。捕虜となった元信は身も心も「日本人」になるよう教育を受け―朝鮮出兵で、関ヶ原の戦いで大坂の陣で何が起きたのか。確かな歴史眼と壮大な奇想力で描く傑作時代エンターテインメント。
著者等紹介
荒山徹[アラヤマトオル]
1961年富山県生まれ。上智大学卒業後、新聞社、出版社勤務を経て韓国に留学。1999年『高麗秘帖』で作家デビュー。2008年『柳生大戦争』で第2回舟橋聖一文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アイゼナハ@灯れ松明の火
31
「影武者 徳川家康」の韓国バージョン!?(笑)荒唐無稽とはいうものの、家康の対韓外交等の知られざる史実を織り交ぜてきてるところなんか、正統的な(笑)伝奇小説の系譜に連なる作品と言えるのではないかしら。凛々しい秀忠公だとか、多少道を踏み外した野望に燃える真田幸村だとか中々面白く造詣できてるところも好評価。流石に泗溟降魔衆の妖術は山風忍法帖には及ばないとはいえ、柳生但馬守・兵庫助コンビとの最終決戦は中々読みごたえがありました。そしてラストのアレは…お約束だよね(苦笑)2012/10/29
てつ
27
第二の影武者徳川家康。朝鮮出兵を絡めているのが新味ではあるが、無理がありすぎ、違和感。幸村のこだわりも理解はできるものの共感できず。読んでみて良かったとは思うがお薦めはちょっと、と言う感じです。2022/11/13
金吾
26
『影武者家康』のパロディー本みたいな作品です。ラストまで奇想天外な話です。白い秀忠と黒い幸村、家康は笑えました。2024/07/08
古古古古古米そっくりおじさん・寺
21
これは面白い!!見事だと思う。風太郎的で隆慶一郎的。樋口毅宏の小説の巻末にある影響を受けたものリストに荒山徹の名前がよく出ているが、確かに樋口毅宏は荒山徹に似ている。物語の面白さに史実の面白さが加味し、さらにパロディの小ネタが色々。隆慶一郎『影武者徳川家康』の資料ほぼ丸写し部分なんぞ書き出すなんて大したものだ。真田十勇士の最期、幸村の姿、そしてラスト、それぞれ皮肉な残酷で痺れる。オススメします。2013/11/13
TheWho
8
時は、豊臣秀吉が起こした朝鮮出兵、所謂文禄・慶長の役から豊臣氏が滅びる大坂夏の陣までの戦国末期を奇想天外なストリーで描いた戦国伝記絵巻。物語は、朝鮮人捕虜の元信(ウォンシン)が徳川家康の影武者にされて後に本物の家康は、関ヶ原の戦いで討ち死にし朝鮮人影武者が、家康として朝鮮忍者を使い徳川幕府を乗っ取り、徳川秀忠と柳生宗徳、そして真田幸村と霧隠才蔵との三つ巴の戦いが展開する。正に山田風太郎を彷彿させる奇抜な発想が面白いエンターテインメントな一冊です。2025/04/20