実業之日本社文庫<br> おはぐろとんぼ―江戸人情堀物語

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実業之日本社文庫
おはぐろとんぼ―江戸人情堀物語

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  • サイズ 文庫判/ページ数 329p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784408550329
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

父親の跡を継ぎ、日本橋小網町の料理茶屋で料理人を勤めるおせん。上方で修業をし、新しく親方になった板前の銀助とたびたび衝突しては、店にほど近い稲荷堀の水を眺めて心をしずめていたが―仕事一筋に生きてきた女に訪れた転機と心模様を描く表題作ほか、江戸下町の堀を舞台に、町人から武士まで、悲喜交々の人情を鮮やかに映し出す感動の傑作時代小説集。

著者等紹介

宇江佐真理[ウエザマリ]
1949年北海道函館市生まれ。函館大谷短期大学卒業。95年に「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。同作を含んだ『幻の声 髪結い伊三次捕物余話』が直木賞候補となり、注目を集める。その後、2000年に『深川恋物語』で吉川英次文学新人賞、続いて01年に『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

453
しみじみと佳い短編集。江戸の、ありそうでなさそうな架空の「堀」を舞台の物語。そこに住むひとびとは、日々の暮らしにかつかつで、先行きなんて見えない毎日を送っている。そんな暮らしの中でも、彼らを見守ってくれる存在が必ず居て。ちょっと落ちている今にこそ、この作品に出会えて感謝。「へっちゃらさ。こんなこと、慣れっこだい」2019/05/05

じいじ

97
いまは亡き宇江佐真理の江戸下町の人情物語はいいですねぇ。江戸を流れる「堀」を題材にした6編、どれもしみじみと深い味わいの物語です。表題作【おはぐろとんぼ】は、父の跡を継ぐ女料理人・おせんが主人公。17年ぶりに別れた妹との再会。そしてその妹が、反りの合わない子持ちの板前への嫁入りを決心させます。泣いて、笑って、感動させてくれます。宇江佐さんの残してくれた作品が、だんだん減っていくのは心残りですが…、一冊一冊大事に味わっていきたいと思います。2019/05/26

shizuka

60
これまたしみじみと「良い」お話が6編。江戸を巡る堀ごとにお話が構成されている。一番気に入ったのは『御厩河岸のむこう』。おゆりに念願の弟が生まれた。勇助はちょっと変わっていて、前世も覚えているし、未来を見ることもできる。なぜなら、自分は「のの様」だからだという。そんな弟でも可愛くて仕方がない。勇助の発する言葉、いいこともあれば悲しいこともある。結末はほろり。でもいつでも見守られているという安心感でおゆりは幸せに生きることができる。世の中に「絶対」なんてないと思うけれど、この姉弟の絆だけは「絶対」だと思う。2017/01/07

ぶんこ

56
著者が心魅かれた江戸の堀を舞台にした6編の短編。 世の中の不景気と失業者の増加が心配され始めた頃に書かれたそうで、「お金がなくても幸せになるには人はどう生きてゆけばいいのかを考えながら書いていた。 堀の水を眺めれば、とりあえず心は少し落ち着く。私のささやかな思いは読者に届くだろうか」・・しっかり届きました。 血が繋がってなくても心が繋がっていた親子の話が多く、しみじみとよかったです。 後書きで髪結い伊三次がデビュー作と知りました。 シリーズ化したのは偶然だったようですが、読者にとっては嬉しい偶然。2015/12/10

KEI

52
読友さんのレビューで藤沢周平作品「橋ものがたり」と深く繋がる作品と伺って手にした本。表題作を含む6編。それぞれが江戸を流れる「堀」を題材に、江戸で暮らす人々の人情をしっとり映し出す。どの作品もしみじみ心を温める。女料理人のおせんと新しく入った板場の銀蔵、娘のおゆみを 繋ぐ手打ちうどんの温かさ「おはぐろとんぼ」、自分はのの様と言い、自分や姉のおゆりの行く末を言い当てる、少しファンタスティックな「御厩河岸の向こう」は特に魅せられた。まるで江戸で堀の流れを眺めている様な心地さえした。秀作。2019/07/31

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