内容説明
時は幕末、薩摩の地に生を享けた村田仙次郎(後の勇右衛門、経芳)は、荻野流砲術師範に入門、たちまちにして頭角を現した。藩主・島津斉彬に取り立てられ、西洋流射撃法と新銃の開発に取り組むが、斉彬の死と維新の風が彼の行く手を阻む―名狙撃手にして日本初の国産近代的小銃「村田銃」を開発した技術者・村田経芳の生涯を描く新田次郎文学賞受賞の傑作巨編。
著者等紹介
東郷隆[トウゴウリュウ]
1951年神奈川県横浜市生まれ。国学院大学卒業。同大学博物館学研究助手、編集者を経て作家に。94年に『大砲松』で第15回吉川英治文学新人賞を受賞。2004年『狙うて候 銃豪村田経芳の生涯』で第23回新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スー
20
87村田銃で有名な銃豪村田経芳の小説。村田経芳は銃でしか知らなかったので新鮮な感じで読めた。薩摩隼人と云えば豪放磊落なのかと思えば頑迷固陋で嫉妬深く陰湿なのに驚きましたね、他国に比べ武士達が銃に習熟しているけど余りにも古い物で村田は世界に追い付く為に洋式銃の開発や取り扱い方を追究しているが次々と邪魔が入るが常に誰かに助けられ遂に藩主斉彬な認められるが斉彬の死で挫折するも薩英戦争で再び藩主久光に認められ斉彬の念願成就の為に大久保の助けを借り奔走する、なかなか読み応えがあり薩摩弁も面白く楽しく読めた。2022/10/07
月式
2
幕末の薩摩が嫌いでしたが好きになりそうですw剣豪ならぬ銃豪村田経芳の生涯をおいかけて、おそらく日本の歴史に大きな影響を与えた国産近代銃開発の歴史に触れる。やはり幕末の人間にとってアヘン戦争で西欧に侵略される清の姿というのはとてつもないインパクトがあったのだろうなと改めて思うし、そこから新技術開発に舵をきった島津斉彬は優れた指導者だったのだろう。2014/08/22
たつや
1
新田次郎文学賞受賞作品。幕末の薩摩で、銃の近代化に奔走した村田経芳の生涯。火縄銃を中心とした旧態技術から、西洋銃への革新。内部の権力闘争ありながらも、進取の気性から技術革新に取り組んでいた薩摩の当時の内情がよくわかる2022/03/24
有海2000
1
物語の本筋から外れるけど、19世紀半ばのあの時期が銃砲技術が劇的に進歩を遂げるまさに過渡期だったんだなと、その混乱ぶりが誌面から伝わってきて感慨深かった。そして斉彬が生きていた世界線での薩英戦争(生起しなかったかもしれないけど)も妄想してしまう。2022/02/24
punyupunyu
1
明治維新期の銃士・銃技術者、村田勇右衛門に焦点をあて、近代銃開発史を詳細に描いた小説。同時期に主題となる人物、テーマは数多くあるなかで、希少な主題に取り組んでおり、かつ重厚な内容は膨大な調査・取材に基づいている。読みごたえのある作品だった。2011/02/07