出版社内容情報
闇を抜け、私たちは羽ばたき続ける――
大切な「誰か」の存在に気づかせてくれる、5つの物語
古い友人。遠くの恋人。業界を去った恩人。すれ違う家族。
途切れかけたつながりを、どうしたら取り戻せるのか。
紅葉の季節に、東北・北海道新幹線で青森、盛岡、仙台へ向かう人々を描く、
心に深く響く連絡短編集。
『桜の下で待っている』で、東北新幹線でふるさとへ向かう人々を描き大きな支持を得た著者。
あれから10年、著者がひらく新境地!
【目次】
ひとひらの羽
遠まわり
あたたかな地層
花を連ねて
風になる
装画/五十嵐大介
内容説明
古い友人。遠くの恋人。業界を去った恩人。すれ違う家族。途切れかけたつながりを、どうしたら取り戻せるのか―『桜の下で待っている』から10年、著者が大切に紡いできた感動傑作。東北・北海道新幹線で、青森、盛岡、仙台へ―大切な「誰か」の存在に気づかせてくれる、5つの物語。
著者等紹介
彩瀬まる[アヤセマル]
1986年千葉県生まれ。上智大学文学部卒。2010年「花に眩む」で第9回「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞。2013年に小説としての初の単行本『あのひとは蜘蛛を潰せない』を上梓。2017年『くちなし』で直木賞候補、2018年同作で第5回高校生直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
237
彩瀬 まるは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、東日本大震災&新型コロナウィルス後の東北・北海道新幹線連絡短編集、オススメは、「ひとひらの羽」&「風になる」です。 https://www.j-n.co.jp/books/978-4-408-53872-3/ 2025/04/06
さてさて
232
『会えるときに会っておかなければ後悔する。そういう時代になったし、自分たちもそういう年代になったのだ』。6つの短編それぞれに、何かしらの理由で離れた土地に暮らしている二人の人物の繋がりに光を当てていくこの作品。そこには、離れているからこそ気づくお互いの相手に対する思いやりの心が浮かび上がる物語が描かれていました。北国の旅情たっぷりに描かれるこの作品。そんな土地を読者も旅しているかのように感じさせてくれるこの作品。季節感豊かに風景を細やかに作品に映し取っていく彩瀬まるさんの上手さ際立つ素晴らしい作品でした。2025/01/30
おしゃべりメガネ
180
『東北・北海道新幹線』が奏でるステキな人間ドラマです。函館をスタートし、青森、盛岡へと舞台を移していきます。それぞれの街で綴られるドラマはさすが彩瀬さんならではな感じです。ほっこりとはまた違う温かさが作者さんの得意技ですね。個人的にはやはり函館を舞台にした話が一番印象的でした。五稜郭タワーを舞台に新撰組土方さんの話が展開されます。年齢も立場も境遇もそれぞれに様々な人々が繰り広げるシリアスな感じの話も決してキモチが暗くならないのが良かったかなと。ぜひ機会があれば、一度は乗ってみたい『北海道新幹線』ですね。2025/02/22
いつでも母さん
150
東北・北海道新幹線繋がりの5話の短編集。そのどれもが味わい深い。タイトルの「嵐をこえて』はコロナ禍の歳月を指している。いつでも会えるは当たり前なんかじゃない事を私達は経験したよね。近くにいてもそうだったのだ(今も終息などしてないけれど)男女間の長い友情、ウミネコ神社と遠距離恋愛、小説家と元編集者の距離感、今だから分かる近くて遠い実家家族の関係、女性政治家の選挙と家族・・彩瀬まるの紡ぐ世界がじんわりと沁み込んで来る。きれいごとだけじゃない世界で私達は生きているんだなぁ。2025/02/20
のぶ
143
東北の主要都市に函館を舞台にした作品集。5つの話が収められていて、それぞれの物語自体は独立しているが、「函館」を含め、「八戸」、「盛岡」、そして「仙台」と、東北・北海道新幹線が停車する街を観光するかのように展開する物語。どれも旅情感を感じさせるが、コロナ禍の閉塞感が漂う中で、人と人との繋がりを見る作品が多かった。内容の共通性を考えると、タイトルの「嵐をこえて会いに行く」が共通して出てくると思う。優しさが溢れていて、彩瀬さんの本の中でもお気に入りです。2025/02/21