出版社内容情報
最後の戦い、してみせん――
源義朝、常盤御前、義仲、義経、静御前…
奔る源氏たちの敗れざる魂を描く
慟哭の源平合戦小説!
『奔る義朝 源 義朝』―平治の乱で平清盛に敗れ、東国からの再起を誓うが――
『雪の坂 常盤御前』―義朝との間に生まれた三人の子を連れ雪の坂を……。
『歌う老将 源 頼政』―歌詠みの老将が以仁王とともに挙兵した意外な理由とは――
『落日の木曾殿 源 義仲』―落日の“旭将軍”の前に逃がしたはずの女戦士・巴が――。
『しずのおだまき 静御前』―義経の子を宿した身で頼朝に舞うことを強いられ……。
「敗北は終わりではない! 敗れても信念を貫いた人たちの物語は、
勇気と希望を与えてくれる。本書のテーマは暗い時代の光明になるだろう」
――末國善己(文芸評論家)
内容説明
慟哭の源平合戦小説!源義朝、常盤御前、義仲、義経、静御前…奔る源氏たちの敗れざる魂を描く。
著者等紹介
武内涼[タケウチリョウ]
1978年群馬県生れ。早稲田大学第一文学部卒。映画、テレビ番組の制作に携わった後、第17回日本ホラー小説大賞の最終候補作となった原稿を改稿した『忍びの森』で2011年にデビュー。15年「妖草師」シリーズが徳間文庫大賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
125
男も女も…。天下の仕置きが平家から源氏に移りゆく激変の世。頼朝が鎌倉政権を築くその前に人柱となっていった源氏の者共の逃避行。古くは平治の乱で破れた頼朝の父・義朝の尾張への敗走から最後は義経の愛妾・静御前の傷心の吉野逃亡、鎌倉護送まで。死にゆく男、生きねばならぬ女。源氏の誇りは積み重なった彼らの哀切の上に成る。木曽義仲の最期はやはりドラマチック。頼朝より先駆け、一時は京を占領し英雄に祭り上げられた豪傑。巴御前との退陣には滅びの切なさが匂いたちます。来年の大河では青木崇高さんですね。イメージはピッタリかと。2021/10/02
R
37
鎌倉殿以外の源氏棟梁格の生きざまを描いた短編集でした。義朝、頼政、義仲、義経、そこに関わる常盤、静、巴、それぞれの関係を源平時代の順番通りに追いかけていく短編連作で、難解な人間関係をわかりやすく解説していて大変勉強になった。勝者になれなかった源氏の武者たちの哀れも感じるが、武士というものの興りと矜持が描かれた物語は、源平絵巻のようで面白かった。この感じで平氏もやってくれると、大変ありがたいとか思ってしまった。2021/10/27
アイシャ
25
源頼朝と義経の父である義朝、その愛妾常盤御前、平家追討のきっかけを作った源頼政、同じ源氏でありながら義経に負けた源義仲、そして義経の愛妾静御前。彼らの敗走、逃走の話。同族の仲たがいは結局その一族の負けにつながる。平清盛にうまく操られて父親や兄弟を殺した義朝。一族の結束こそが、乱世を生き抜くよすがなのに、頼朝も優秀な弟を抹殺しようとするしうまくいかない。一度ちゃんと義経の生涯を読んでみたいと思った。2021/10/12
びぃごろ
15
義経の生涯は文楽と本で筋を掴んでいたが、累系はサッパリ。教科書だと文字が流れていくだけだが、物語で人物が動いてくれると分かり易い。人物相関図を書きながら、この小説を読んで頭に入ってきた。「奔る義朝」河津源氏頼朝・範頼・義経の父。義朝は弟義賢(義仲の父)を殺す。平治の乱/平清盛に負ける。「雪の坂」義朝が亡き後、常盤御前は三人の幼子を連れ、大和の伯父の処へ落ち延びる。「歌う老将」21年前平氏に付いた摂津源氏頼政は以仁王と起つ。「落日の木曾殿」最期は今井兼平と。女武者巴御前は男の子を産む。「しずのおだまき」 2021/12/05
はるま
12
初読作家 やはりNHK大河ドラマの影響は計り知れず、本屋でも鎌倉時代関連の特設コーナーがよく見られるね 本作も昨年発刊されてはいるが、我が街の図書館では新着本として告知されていたし、歴史小説好きの司書さんにこんな本入荷したんですよと勧められて手に取った 源氏方の敗れし5人に視点をあてられた短篇集 勝者の裏にはその闘いによって抹殺された人が居るわけで。。。ちょうど今夜の大河と連動するかごとく、静御前の章は印象に残った また常盤御前、源義朝の章もよかったな 頼朝、北条義時の狡猾さがより際立って思えてくるね2022/05/22