出版社内容情報
この仕事、ブラック過ぎて腹が減る――敵はヤクザ、刑事、そして国家権力。羽田圭介が放つ、限りなく危険なクライムノベル!
内容説明
ガソリンスタンドのアルバイト、アレルギー持ちの殺し屋、写真週刊誌の女性記者。日々過酷な仕事に臨む三人が遭遇した、しびれるほどの“時間外労働”!芥川賞作家・羽田圭介だから書ける、限りなく危険なお仕事&犯罪小説!
著者等紹介
羽田圭介[ハダケイスケ]
1985年、東京都生まれ。明治大学卒業。2003年、『黒冷水』で第40回文藝賞を受賞し、17歳でデビュー。2015年、『スクラップ・アンド・ビルド』で第153回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
226
羽田圭介は、新作中心に読んでいる作家です。著者の新境地の新作かと思いきや、芥川賞受賞前(約5年前)に書いたミステリ短編集でした。最初の『グリーンゾーン』以外は、あまり面白くなくオチもなく、こんな作品を出版していると売れない芥川賞作家まっしぐらです。2018/05/10
ケンイチミズバ
152
マンホールなどで作業中に倒れた人をあわてて助け出そうとしてはいけない。CO中毒で自分も死んじゃうから。殺し屋はウォークインクロゼットから一酸化炭素のボンベを開く。が、思いとどまる。思いとどまらねばこのストーリーは展開しない。立て続けのミッションで殺し屋には心と体の休養が必要だ。いやブラック労働に耐えるヤンキーの彼女にこそ働き方改革は絶対必要だ。洗車中に見つけたボディーの赤黒い液体、通報すべきか、いや忙しすぎる。トランク開けたら殺しちゃうよーと言われたし、昼休憩が夕方までとれない毎日だから仕方ないな。2018/04/23
ウッディ
144
人員不足で厄介な仕事が次々と舞い込むガソリンスタンドのアルバイト、負傷しても正当な治療を受けられず、胃に食べ物を入れられない殺し屋、スクープを狙った張り込みで、その場を離れられない写真雑誌の記者、いずれも時間通りにランチを食べられない人の3つのお話。仕事で行き詰っても、ランチタイムで美味しいものを食べて、気分を変える。 そんな気分転換もできない職場、仕事で頑張っている人達は、ある意味、プロフェッショナルです。だからと言って、そこまでする必要があるのか、あまり共感はしない内容で、イマイチでした。2018/07/18
優希
114
面白かったです。女性が主人公だったり、殺し屋が出てきたり、変わった人が出てきたりと豊かな表情を見せますね。羽田さんが女性を主人公にした作品を書くのが珍しいと思いました。この方は色々な引き出しを持っていそうな気がします。ブラックながらも明るさがあるのを感じました。ダークな作品も良いですが、反則的な色を見せる今回のような作品も良いですね。2018/05/05
chimako
98
お昼ご飯を食べ損ねるような仕事をしている3人を扱った連作。整備士、殺し屋、記者。整備士と記者は女性。全く関わりが無さそうに見えて、「こんなところで」のリンクがある。それぞれの短編を書くにあたってかなりの調査や資料の読み込みが有ったのだろうと推察される。読み物としては2番目の「内なる殺人者」が好み。小麦アレルギーの主人公と彼の回りのアレルギーに悩まされる人たち(本人や家族)の命にかかわる優しさがある。決して面白い話ではないのに読んでしまうのは何故かなぁ。2018/12/13