出版社内容情報
時代小説の名手藤沢周平の市井物の代表的名作を愛蔵版で娯しむ――没後20年、生誕90年記念出版。今秋、待望のドラマ化決定!
内容説明
没後20年、生誕90年記念出版。江戸に生きる人々の喜びと哀しみを描く名作。
著者等紹介
藤沢周平[フジサワシュウヘイ]
昭和2年(1927)、山形県鶴岡市に生まれる。山形師範学校卒。46年「溟い海」でオール読物新人賞を受賞し、本格的に作家活動に入る。48年「暗殺の年輪」で第69回直木賞、61年『白き瓶』で吉川英治文学賞を受賞する。平成9年(1997)1月死去。平成29年には没後20年、生誕90年を迎えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュール リブレ
59
【海坂藩城下町 第5回読書の集い「冬」】いろいろあった2019年も、静かにくれていきます。年末に落ち着いて読むには、市井ものの落ち着いた本がいいな、と今年最後は、おススメいただいた藤沢周平さんで締めくくり。江戸の町の「橋」を舞台にした連作。橋は、今で言う駅や空港のような出会いと別れのある場所ですね。そして人と人とが触れ合って人生に波風が立つ。晴れの日も嵐の日も、いつの時代も悪党はいるけれど、優しい心を持った人たちも溢れてる。そんな心を持ち続けていける2020年になりますように。良いお年をお迎えください。2019/12/31
紫綺
39
藤沢周平全集にて読了。川の流れが人生ならば、橋はその生き様を左右する分岐点。出逢いがあり、別れがあり、喜びがあり、悲しみがある。そんな江戸の世の切ない十の人生短編。2025/01/16
Tanaka9999
18
2017年発行、実業之日本社の単行本。10編。橋をモチーフにした全編が世話物。シリーズものではなく、連作ものというのが良い。この作者の作品に多いやくざな暮らしをしている主人公はあまりいない。市井の男女関係や親子関係が描かれている。多くが幸せな(もしくは幸せを予感させる、または幸せを分け与える)終わり方でそれも良い。2022/12/15
マッピー
16
江戸は水の都だったので、大小合わせてたくさんの橋があった。だから日常的にわたる橋はもちろんあるのだけれど、それでも比喩的に橋を渡るということが別の世界へ出ていくことのように大きな意味を持つ。基本的に互助社会であった江戸の生活で、互助の網から外れてしまった人たちに向ける作者の目は優しい。ハッピーエンドばかりではない。せつなく切れてしまった絆もある。追いかけたいけれど橋を越えることができないときもあるのだ。それでも。思い描いたしあわせと違うしあわせの形もある。人が生きる形を様々に見せてくれるさすがの藤沢周平。2019/05/12
さんぽ日記
13
久しぶりの藤沢作品。藤沢作品を読むたびに思うのは作品の中に人が生きている事。日常の描写はもちろんですが登場人物の中にある一片の情を感じるからなのだと思います。今年こそは藤沢作品の朗読に挑戦してみたいです。2019/01/17