内容説明
1960年初夏、地理学者・京極勝の前に、思いがけない人物が現れた。ディック・チャンドラー。大戦前夜の1934年秋、ベーブ・ルースとともに全米野球チームの一員として来日した大リーガーだ。戦争を挟んで途絶えていた絆がよみがえるが、なぜディックは26年ぶりに突然来日したのか―。舞台は東京、横須賀、ボストン、そしてニューヨークへ…激動の時代、人生の地図を手探りで描こうとする男たちの友情と謎を大スケールで描く、歴史エンタメ・サスペンス!書き下ろし。
著者等紹介
堂場瞬一[ドウバシュンイチ]
1963年生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。警察小説とスポーツ小説の両ジャンルを軸に、意欲的に多数の作品を発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
139
堂場瞬一は、新作中心に読んでいる作家です。歴史×野球×ミステリといった感じです。ベーブ・ルースや沢村栄治等、日米の大昔のスーパースターが多数登場し、野球ファンには楽しめます。但し、純粋なミステリファンには物足りなく、野球嫌いの方にはオススメしません。何時かレッドソックスに日本人プレイヤーが在籍していたら、フェンウェイ・パークでレッドソックスVSヤンキース戦を観てみたいなぁ!2017/07/13
いつでも母さん
108
「彼女を殺したのは、私なんだな」嗚呼、ディック。そうじゃない。自分を責めるな。例え責任の一端があったとしてもだ。あの頃の君に、あれから起こることの全てがわかっていた訳は無い。戦争はいろんなものを引き裂く。それだけは確かだ。日米野球が縁で結ばれた男の友情を堂場さんが描く。なんとなくストーリーは見えたものの、純粋に野球だけで交流できるほど簡単な情勢ではなかったという事なんだ。ベーブ・ルースの似顔絵も読後はちょっと哀しい。日米野球の日本側の懐かしい名前が嬉しかった。私も年を重ねたということか・・2017/07/20
背古巣
43
読み初めは、冒頭部分が何の意味を持つのかさっぱり解りませんでしたが、後半になってからは、鈍い私にもその意味するところが分かって来ました。そして誰の視点で書かれているのかも。突然来日したディックの本当の目的、26年前ベーブ・ルースたちと来日したときの真の目的は?友情の物語と思っていたら、途中からサスペンスモードになって、"何これ?"でしたが、面白かったです。ディックはそんなに責任を感じなくてもいいのではと思うけど、愛した人がああいう亡くなりかたをしたらやっぱり自分を責めるよね。2018/04/20
wanichan
36
野球と友情と戦争を絡みあわせながら、贖罪についてのストーリー。歴史エンタメサスペンスと帯にあったので、期待しすぎてしまった。あまりサスペンスは感じられなかった。2017/10/11
buchipanda3
29
大戦前、日米野球が華やかに開催される中、その陰で起きていたある出来事が描かれた歴史ドラマ小説。ちょっと話が薄味に感じられたけど、野球を通じて交わした二人の友情にはグッときた。ディックの過去の行動は察しやすいが戻ってきたのは何故なのか。夢中になって野球指導をする一方で、時々見せる不自然な態度のちぐはぐさが彼の悩みの深さを表していたと思う。真相を知った京極の対応は共にプレーした選手を親身になって励ますかのようで清々しさを感じた。類似の選手が実在し、さらに同じような事件が実際にあったことを読後に知って驚いた。2017/06/23