内容説明
破天荒な父親・騏一郎のアメリカ放浪譚、新入社員時代の上司・村瀬瑛子の少々イタい周辺事情、妹・ももかの少女期のエピソード、そして『プロトコル』以後のちさと自身と、あやうい恋のゆくえ…。個人情報漏洩事件に翻弄される有村ちさとを描いた傑作お仕事小説『プロトコル』のアナザーストーリー。
著者等紹介
平山瑞穂[ヒラヤマミズホ]
1968年東京都生まれ。2004年に『ラス・マンチャス通信』で第16回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめか*
21
プロトコルのスピンオフなので共に読むのがおすすめ!作品を2倍に楽しめた。ちさとの父の、幻覚で見えるブラントン将軍との旅の様子、妹目線で見たちさと、キャリアウーマン村瀬課長の家族話と、彼女目線で見たちさと、最後にちさとの恋愛。誠とうまくいくかと思ってたけど誠の裏を知ってがっかり。マザコンでずっと英語の綴りの話ばかりするのは確かに嫌になりそう。マリオはルール縛りで厳格に生きてきたちさとの生真面目さを丸くしてくれる、良い旦那さんになりそう。どの作品も明るいラストで良い。姉妹も何だかんだ良い関係だと思う。2018/09/17
野のこ
10
有村ちさととその周りの人たちの短編集。最初のキイチローと将軍の話が面白かったです。外国では禅は魔法の言葉。二話目では箱に入った女の子の版画が印象に残りました。真面目なちさとちゃん、自分のいいかげんさを分けてあげたいです。「プロトコル」の続編とは知らず、そちらもぜひ読みたい。2016/06/20
ちゃこてい
10
バカ真面目な有村ちさと。とその周りの人々のお話。お父さんの話に?上司(女性)の話に、頷き、妹の話でイラッとし、彼氏の話でえーっ、ずいぶんぶっ飛びましたね?となんかあっち行きこっち行き感はあったけど、面白い。彼女が会社でやらかした大変な騒動の話には触れられず終わったが、長編『プロトコル』の続編だったのね…持ってたのに間違って先に読んでしまった…。2016/05/29
CAFECAFE
7
プロトコルでは明かされなかった謎めいた部分の、アンサー版と言った感じの番外編。前作から今回で、一番変わったのが主人公の彼女。ちさと2.0だ(笑)。そうなりますか!の展開にびっくり。理詰めではなく感性で物事を捉えるようになったり、自分を縛っていた枠組みを外したり。ある意味普通の人に近くなったが、これからは肩の力を抜いて生きられるんじゃないかと思う。Love For Saleと言えば、Cannonballは勿論、グルーヴ感満載のTrudy Pittsも好き。でもちさとにとってはマリオバージョンが一番♪だろう。2010/10/26
CCC
6
続編だとはコメント見るまで全然気づかなかった。普通に単体で読める内容。前編未読だけど楽しめた。地味に嫌な登場人物ばかりだったような気がするけれど、最後まで読み通すと不思議と許せる……というか、許してあげなきゃいけないような気持ちにさせられた。何か全員リアルにいそうで、これが許せないとリアルの周囲も許せないんじゃないかとそんな風に思ってしまう。私にとってはいいキャラ小説だった。あと最後付近のジャズの件は笑えた。村上春樹は好きだし、ジャズも元ネタが全部分かるくらいには好きだけど、言いたいことはすごく分かる。2012/09/11