内容説明
聴衆の前で話しているとき、シュティリングは水を得た魚であった。話しているうちに彼の頭の中で概念がどんどん発展していき、しばしばすべてを言い表すための十分な言葉を見つけることができないほどだった。話しているとき、シュティリングという存在そのものが明るく晴れわたり、混じりけのない生命とその表出そのものになった。貧困に負けず学問を続けて大成する、独学者の数奇な人生行路を描いた18世紀ドイツの自伝文学。「疾風怒涛」運動の中心人物ゲーテ、観相学者ラヴァーター、思想家ヘルダーらとの親交から生まれた、“ヴィルヘルム・マイスター”よりも大衆に読まれた教養小説。本邦初訳。
目次
第1部 ヘンリヒ・シュティリングの少年時代(ヴィルヘルムとドロテの結婚;ヘンリヒの誕生と母ドロテの死 ほか)
第2部 ヘンリヒ・シュティリングの青年時代(祖父亡きあとの家;学校教員への夢 ほか)
第3部 ヘンリヒ・シュティリングの遍歴時代(シャウベルクの天啓;大商人ホーホベルク ほか)
第4部 ヘンリヒ・シュティリングの家庭生活(シェーネンタールの新生活;最初の白内障手術 ほか)
著者等紹介
ユング=シュティリング[ユングシュティリング] [Jung‐Stilling]
1740‐1817。ドイツの小説家。本名ヨーハン・ハインリヒ・ユング。現在のノルトライン=ヴェストファーレン州の村グルントに、学校教員で仕立て職人の息子として生まれる。強い敬虔主義的環境に育ち、学校教員と仕立て職人の職を転々としながら、20代後半に医学の道を志す。シュトラースブルク大学医学部で学び、ゲーテ、ヘルダー、レンツなど当代ドイツ文学の俊英らと知り合う。1777年、ゲーテが手を入れて出版した『ヘンリヒ・シュティリングの少年時代』によって一躍有名になり、その後、医者、さらに大学教授等をしながら、キリスト教の民衆宣教文学を執筆。その文学的名声はロシアから中東、米国まで文字通り世界中に渡った
牧原豊樹[マキハラトヨキ]
1964年、北海道室蘭市生まれ。金沢大学文学部文学科卒業(独語独文)、東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了(独文学)。編集者・翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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