内容説明
安泰な結婚生活を共に送っていたはずの夫は、愛人のもとに走る。引っ越し先に迷い込んだ子猫は、どうやら目が見えていない。父は脳出血で倒れ、愛を告白してくれた同僚は、なんとレズビアンだった…。ときに哀しく、ときに滑稽に繰り広げられる様々な予期せぬ出来事に、そのつど新しい自分を発見してゆく佐緒里、30歳の瑞々しい心。愛する誰かと一緒に生きる喜びを描いた人気作家の女たちへの柔らかなまなざし、新境地の傑作長編。
著者等紹介
谷村志穂[タニムラシホ]
1962年、北海道札幌市生まれ。北海道大学農学部で動物生態学を専攻。91年、処女小説『アクアリウムの鯨』を発表。2003年、『海猫』で第十回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちゃさち
22
知らない間に夫が他の女と子供をつくってしまい離婚する。1人で暮らした部屋で猫を飼い始め、同期と仲良くなるが実はレズだった。出てくる人が自由だと思いました。夫は別れを言い出した癖に主人公のお願いを聞いてしまう。元夫は実はどうしようもない男だと思いました。最後はあっさりしていてよかったです。2017/08/21
しょこら★
16
離婚を境に、憧れのマンションに引っ越したさおり。庭先に丸まる、生まれたての猫。同性愛の同僚。派遣、労働組合の活動…世界がゆっくり少しずつ動いていく。ひねくれて、強がってた心が、動いていく。ムーヴド。日々の小さな変化を、大切にしたいなって思った。2013/08/31
星落秋風五丈原
15
夫は愛人のもとに走り、父は脳出血で倒れ、同僚はレズビアンだった…。様々な予期せぬ出来事に、そのつど新しい自分を発見してゆく佐緒里。愛する誰かと一緒に生きる喜びを描いた、女たちの小さな勇気の物語。2008/08/26
ガラシャ
12
離婚をした女性が引越しをした日にであった捨て猫とともに人生をリセットしていく物語。最後の着地点が突飛でしたが全体を通してまずまず楽しめた感じはします。ミステリーばかり読んでるとこのような女性の日常を描いた作品に共感したりします。2012/11/03
ジュール
8
夫に女ができ離婚された佐緒里。いつも受け身で、ひっこしたマンションで1人。そこに生まれたばかりの子猫、病気餅、白内障。2人でどう生きていくのか…というあたりは引き込まれたのだが、その後、どんどん強くなっていく。動物禁止のマンションで開き直ってプチを飼うのはいかがなものか??2019/09/19