内容説明
金融庁統括検査官の松嶋哲夫一家には幼少の頃、銀行への借金がもとで父が自死を選んだ過去を持っていた。私憤を表わさず、ルールに忠実な検査官として評価されている哲夫に、合併後のガバナンスで問題を抱えた大東五輪銀行への検査要請が下った。合併前の五輪銀行には、旧大蔵省時代の哲夫の上司が自殺に追いつめられた過去があり、しかも弟の直哉が同行に勤務しているのだ。公私の区別を付ける哲夫は適正な検査基準と使命をもって検査にあたるが、大東五輪銀行の隠蔽体質が予想以上の深さを持って迫ってきた…。ルールとモラルなき経営者は退場せよ!銀行の内幕を見すえてきた著者が、金融行政に生きる人々の内実や人生観に迫る経済小説。
著者等紹介
江上剛[エガミゴウ]
1954年兵庫県出身。早稲田大学政治経済学部卒後、旧第一勧銀に入行。同行広報部次長として総会屋利益供与事件の混乱収拾に尽力、高杉良氏『金融腐蝕列島』のモデルとなる。在職中の02年に『非情銀行』(新潮社)でデビュー。03年、みずほ銀行退職後執筆に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
誰かのプリン
18
金融庁に勤務する兄と大手銀行に勤務する弟。運命のいたずらか弟の勤務する銀行に金融庁の検査が入る。主任検査官の兄は一切の手加減をせずに検査に望む。そこには悲しい出来事や本当に銀行が健全な運営をして欲しいとの思いが交錯している。 ★★★★☆2019/12/14
ともぞう☆
3
最近バンカー小説にハマってます!兄弟の絆は強い!2014/08/07
yashiti76
3
4⃣UFJ銀行の誕生から三菱との合併までの、不良債権処理、竹中改革の裏側を復習できる内容。自分も銀行員、身につまされる部分も多数あった。2013/08/18
shoiti nakata
3
中央官庁の仕事の実態を知りたいと思い読みました。経済用語が多く使われているにもかかわらず、話の構成がわかりやすいので、スイスイ読み進めることができます。金融庁の仕事を知りたい人・銀行の仕事を知りたい人にはそのきっかけとしてお勧めです。2013/08/04
まめちゃん
3
とてもひきつけられる物語でした。以前財務審査の仕事を保険会社で担当しており、当時のMOF検のことが思い出されました。ラインシートの作成や担当官とのやり取りに苦労したのがある意味懐かしいです。 自己査定については当初はその取り扱いに苦慮しましたが、その辺りの事情や、検査結果を受けてからの対応が金融機関の将来を左右することが丁寧に描写されていました。 江上さんは現場を十分にご存知なので、これだけリアルな表現が可能になるのでしょうね。 この物語には実話をベースにしていますが、フィクションでも期待したいです。2011/12/23
-
- 和書
- 漢字の読み方辞典