内容説明
究極の推理ゲーム。幾重にも繰り返される仮説の構築と崩壊。一筋の推理の光が屈折・分散し、到達するところには―実験的アンチ本格ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
taiko
43
クラスの人気者ミツコ先生が殺された。犯人はだれ?著者の意図の通りの結末に、私的には不完全燃焼でしたが、仕方ないのでしょうね。ミツコ先生の関係者ばかりが登場する話でしたが、みんなが謎解きに一生懸命で、ミツコ先生がいなくなってしまったことを悲しんでいる感じではないのが違和感だったし、ミツコ先生が気の毒。結果的には、ミツコ先生の良さもあまり伝わってこず、残念でした。2017/03/02
フリスビー
18
的外れな推理が繰り返され、巡り巡って真実?にたどりつく、まさにプリズムのような展開。貫井版「毒入りチョコレート事件」と言った趣です。あくまで推理の過程を楽しむのが目的で、真犯人の決定権を読者に委ねてしまっているところが粋です。古典ミステリの風情もあり、推理の過程と崩壊を堪能したい人にはたまらない作品ですね。2013/07/28
雪だるま
14
小学校の女教師が殺された。犯人は誰なのか?関係者達がそれぞれの立場で推理する。一体誰の推理が当たってるの?正解はあるの?と思いながら読んでいたらまさかの結末。解決して欲しかった! 2018/03/11
こうちゃ
12
小学校の女性教師が自宅で死体となって発見される。窓ガラスが割られ、睡眠薬入りのチョコレートも残されていた。強盗か?顔見知りの犯行か?受け持ちクラスの子どもたち、同僚教師、元彼、不倫相手による推理ゲームが各々繰り広げられる。情報をかき集め仮説の構築と崩壊の末、導き出した推論に果たして正解はあるのか?Scene-1・虚飾の仮面/Scene2・仮面の裏側/Scene3・裏側の感情/Scene-4・感情の虚飾。ループしているので何となく結末は想像していたけれど、モヤモヤしたまま読了。真相もそうだけど、通報者は誰?2014/07/02
Junna.S
12
ひとつの殺人事件から始まる構築と崩壊。誰からも慕われていたはずの被害者の裏の顔が、その各関係者による仮説によって暴かれていく様が面白い。ひとつの事件でこれだけの仮説が立てられるのだなと感心する一方で、「誰が真犯人か?」と必死になって読み進めてしまう。途中で最初の伏線と不倫相手が繋がった時には「ああ、ここにオチるか」と一瞬納得しそうになるが、その彼の立てた最後の“仮説”にはゾッとさせられた。仮説を破る仮説の応戦。結局事件の真相は謎のままだが、だからこそ本当に怖いと思う。作者の意のままに振り回された話だった。2012/09/18