内容説明
「私たちはどのくらいの強度でここに立っているのか」。16篇の短編小説と厳選された約100点の写真が織りなす「東京」をめぐるコラボレーション。なにげない日常風景、空虚な生活をたんたんと描写する小説との連続に、心の奥底にしまったはずの“記憶”が熱を帯びて甦ってくる。
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
作家。1967年神奈川県生まれ。早稲田大学文学部卒。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人賞を受賞してデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』(ベネッセ)で野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』(河出書房新社)で坪田譲治文学賞、『キッド・ナップ・ツアー』(理論社)で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石文学賞受賞
佐内正史[サナイマサフミ]
写真家。1968年静岡県生まれ。1995年キャノン写真新世紀優秀賞受賞。97年に初の作品集『生きている』(青幻舎)を発表、濃密な空気感を捉えた作品は写真界に深い衝撃を与える。広告や音楽誌を中心に活動。若手写真家としては異例のペースでコンスタントに作品集を出版
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
77
前回から4年半ぶりで再読。この何気ない時間を切り取った写真、一枚一枚に、その瞬間をそこで生きている人が、いつかどこかで出会った人、景色のような懐かしさを感じてしまう。心の奥底がムズムズするような…。ページを捲るごとに、今の自分から遠ざかるような錯覚。知らない町に一人飛び込む…家出初心者のような気持ちになった。私の記憶の中にも、パチリと切り取った東京の景色が蓋をしてもう出てくることもないように埃を被って眠っている。誰にも触れさせない…記憶。2014/12/13
巨峰
40
読メでは、角田光代さんの単著のようにされているけど、実は角田さんの文章と写真家の佐内正史さんの写真との共作。角田さんの文章はエッセイのように思えるけど実は創作で、佐内さんの写真ははじめはよくわからなかったけど、途中から一つの写真からそこに写る人たちの物語が見えてきて、背景を考えさせられる。すぐに読み終えてしまうけど、文章と写真が共鳴してなかなかの体験。写真は90年代後半の東京を写しだしたもので、東京育ちに人の中には、郷愁を覚える人もいると思います。2025/05/22
あつひめ
23
目にしたものをそのままの姿でデコデコ飾らない写真。思い出は時を重ねるごとにふやけてちぎれて・・・たぶん原型を留めていない。自分の都合のいいように美しく組み立てなおした記憶の形・・・。実際に手にした幸せと手にしたかった幸せがごちゃ混ぜになりながらゆるりゆるりと時の間を流れている・・・そんな感じの作品。2010/06/12
Heart
20
角田光代さんの文章と、佐内正史さんの優しくて綺麗な写真がたくさん詰まっている一冊*当時の時代だからこそ醸し出せる綺麗な風景がたくさんで、見ていて癒された。(*´ー`*)今では見られない風景もあるのかなと思い、途中寂しくなったりもした。『父と歩いた日』『東京』印象的*胸に響く文章もたくさんあった。また再読します。(*´ー`*)2016/04/01
calaf
14
写真付きのエッセイ集?エッセイ付きの写真集?どちらかは分かりませんが (^_^;;; 「見なかった記憶」せっかく出かけたのに休業日で入れなかったり見れなかったものって、確かに記憶に残るものかも。。。2014/09/06
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