内容説明
陽光のなかに、たおやかな歴史の流れと命の輝きを見つめる。
目次
教えは暮らしの中に
いのちの輪廻
死は怖くない
祭りの日
お茶に明け、お茶に暮れ
肉よりミルク
路端の産直店
主食はツァンパ
民族衣装
チュバもいろいろ
著者等紹介
渡辺一枝[ワタナベイチエ]
1945年1月、ハルピンで生まれ翌年秋に母と共に日本に引き揚げる。1987年3月までの18年間、東京近郊の保育園、障害児施設で保育士を務め、退職の翌日に初めてのチベット行に出かけて、その後に作家活動に入る。初チベット行以来、チベットと西北ネパール・北インド・モンゴルなどチベット文化圏へ通い続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
177
ここには純粋な微笑みがある。忘れ去られそうな美しさがある。農村の収穫祭、仏教に所縁のある祭礼。死の清々しさ。肉を食べてしまえばそれまでだが、限りある生命をともにする。鮮やかな衣装は着物のように纏うもの。多彩な着こなしと華やかさを好む。ヤクや羊から頂いた毛を紡ぎ、綺麗な刺繍を飾り全面を花柄で埋め尽くすほどである。そしてまた微笑む。少しずつ侵食していく外部からの文化に暮らしぶりも染まっていく。変わり果てたここにある図書館から見る憧れの地。時間に追われ便利さを追求し、失ってしまった記憶の面影を、懐かしい風景を。2023/01/22
OHモリ
13
「西蔵回廊-カイラス巡礼」が30年近く前の著作だったので、その後のチベットはどうなっているんだろうと思って借りた図書館本、2020年2月初版の渡辺さんの本作。とはいえ今まで撮りためた作品の集大成なので現状を知るというよりも、失われつつあるかつてのチベットの記録という・一技さんの作品は以前、「私と同じ目をした・・」に続いて2作目。どちらも写真がメインの本、表紙の少女の写真の表情なんて本当にいいなと思う。・椎名誠さんの奥さんなのに夫のネームバリューには全く頼らず「渡辺一技」として活動している潔さにも共感する。2021/12/15
ジュースの素
12
静かにこの本を読み、私はチベット文化圏が何としっくり来るのだろうと思った。旅も何度もした。気が合わなきゃ離婚は当たり前よ、と言うチベットの人たちの言葉を聞き、日本の窮屈さを感じた。本を読み、一番そうだと思ったのは、「世界には別の当たり前」があること。 運針での針の進め方に驚いた。チベットも変わっていく。一枝さんならではの眺め方がとてもよかった。2020/06/20
ワタナベ読書愛
1
2020年刊行。「ツァンパで朝食を」(本の雑誌社 2019)を元に再編集。B5ノート程度の大きさで、気軽に開ける。筆者が長年訪れたチベットの日常生活を撮った写真集。様々な民族衣装は、満艦飾で農作業をしているよう。巨大なアクセサリを身につけた男女の微笑みは素朴だ。今はどんどん古いものが失われていくので、大変貴重な資料と言える。筆者が少しずつ現地の人と交流しながら得ていった日常生活のこまごまとしたことが愛おしい。人間が好きな様子が伝わってくる。手作りの丁寧な暮らしが豊かさを感じさせる。独特の色づかいが印象的。2021/08/16