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内容説明
ドイツ侵攻後、すぐに始まったユダヤ人への差別と迫害。「匿えば絞首刑」という恐怖におびえながら、グラジーナは、ある決断を―。
著者等紹介
ロリニカイテ,マーシャ[ロリニカイテ,マーシャ] [Rolnikaite,Masha]
リトアニア出身のユダヤ人作家。1927~2016年。生涯反ファシズムを訴え続けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
130
作者はリトアニア系ユダヤ人。ホロコーストを生きのびた。ドイツ人の格好をしたリトアニアの将校という言葉のもつ、絡まった重い複雑さ。ヒットラーが始めたことをスターリンが仕上げたとウクライナの作家の言葉であったが、ここではヒットラーのしようとすることをリトアニア人の一部がすすんでした。グラジーナが受け取ったメモの意味は、何重にも解せる。そして迫害されていた側が迫害する側になってしまう例は、今のパレスチナをみても…。2019/12/29
キムチ27
49
30分余りで読める。が背景に広がるパネリアイメモリアルの花畑の痛みが胸を突き刺す。このひと時、台風の惨禍が未だ癒えぬ日本・・でも平和の有難味を唱え、受け止め、繋ぐ大事さを訴える権利は『有る』舞台はバルト海沿岸リトアニア。1939スターリンとヒトラーが締結した秘密議定書の中身に基づき恐怖政治が施行された。23万人の在住ユダヤ人のうち、17,5万人が殺害されたと言われている。筆者はその時代の空気を吸い、幾度もゲットーからの生還を潜った。身の回りに木霊する「無念の魂」を代弁して綴ったこの作品は永久に繋がれる2019/10/28
たまご
19
短い作品ですが,タイトル通りとても重い.ソ連侵攻,その後のナチス侵攻で,結局はリトアニアの主権は消されたまま,狩られる対象が変わってもその圧政と迫害の構図は変わらない. 「消される」のはいったい誰だろう.生き残っても,それでも「消される」こともあるのか.この作品を書くことで,作者のなかで消されるものもあるのか.このようなこともあってほしいという願いなのか,作者の出自を思うにいろいろ考えます.2019/11/24
uniemo
13
舞台はリトアニア、ソ連軍が駐留していた時は前政権での富裕層や支配層がシベリアに送られ、その後ナチスドイツ軍が侵攻するとユダヤ人が虐殺されるという非人間的な行為が行われていた時代。それまでは同級生として仲良くしていたのに助けるには自分の命をかけなければならないなら、自分なら何ができるだろう。一気に読める長さで読み易いけど読後は辛くて『あのころはフリードリヒがいた』を思い出しました。2019/10/08
きゅー
9
物語は、リトアニアという小国がドイツからソ連へ、そして再びドイツの支配下に置かれた時期を描いている。現実にリトアニアで起きたホロコーストは悲惨なものだった。正確な数は不明だが、ドイツ軍占領前に暮らしていたユダヤ人21万人のうち、約20万人近くが殺されたと目されている。彼らはドイツ兵だけではなく、反ユダヤ主義に扇動されたリトアニア人によっても殺害された。著者のマーシャはこのきわめて少数の生存したユダヤ人であり、自身のゲットーでの体験は『マーシャの日記―ホロコーストを生きのびた少女』としても執筆されている。2023/01/20