内容説明
1945年、秋。こうしてぼくは出発した…。歩いて…歩いて…。歩いて…歩いて…。浩は、リヤカーを引きつづけました―。東京の町をとおりぬけて、M市めざして―。
著者等紹介
小泉るみ子[コイズミルミコ]
1950年、北海道生まれ。早稲田大学文学部卒業。絵本、挿画など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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♪みどりpiyopiyo♪
34
…きびしい訓練を重ねてきたのに、きょうからは生きろといわれても、どう生きたらいいんだ…。浩の心は、深くふかく迷っていたのです… ■再生の物語を読みました。74年前の ちょうど今頃でしょうか。この頃は、国中が深くふかく迷っていたのでしょう。■ようやく秋めいてきた日の早朝、浩は出発しました。町で、多くの人々と言葉を交わし、少しずつ 少しずつ… 子供にも大人にも感じるものがある絵本だと思いますが、特に、浩と同世代の10代の子たちに読ませてあげたい物語でした。(2018年)(→続2019/08/27
とよぽん
23
予科練で敗戦を迎えた主人公。戦争の後、生き残った人たちの一歩一歩が見える物語だった。この本も、実話をもとにした作品。小泉るみ子さんの、何としてもこれを伝えていきたいという思いが1冊に結実した。そして、最後の夕暮れの場面に泣けてきた。「あとがき」も。から草もようは慶事、幸せを表すめでたい模様。2019/12/02
ヒラP@ehon.gohon
20
国のために死ぬことを教育された青年が、その呪縛から解き放されたときに、生きるということは後ろめたさであり、掴み所のない不安な世界だったということは、悲しいほどに伝わってきました。 そんな心を開いてくれたのが姉の結婚であり、嫁入り道具を運ぶために品川から松戸までリヤカーを引いたことだったということは、とても象徴的です。 人の幸せを考えること、戦争のこと以外に労働を見つけたこと、きっとトラウマから解き放される行程なのですね。 唐草模様の大風呂敷も意味深く感じました。 2018/09/13
ヒラP@ehon.gohon
14
【再読】大人のための絵本2022/08/01
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
12
「お国のために立派に死んでこい」と厳しい訓練を受けていた浩、しかし終戦で自分が生きていたことを責めてしまいます。ぬけがらのようになった浩ですが、姉の結婚が決まり花嫁道具を嫁ぎ先にまでリアカーで運ぶ浩に…。戦争は無事に生きていても、心から喜べず、自分だけが生きていて良いのか?と責めてしまう悲しい思いをするのですね。2020/09/07
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