内容説明
字幕屋・太田直子の言葉のセンスは人生をかけた字幕愛から生まれた。映画字幕よ永遠なれ!最後のエッセイ集。
目次
1 字幕屋の気になる日本語(「しっかり」と「いただく」;率直にうれしい?;元気を与えたい? ほか)
2 字幕屋は銀幕の裏側でクダを巻く(アタシを守って!;兄弟も「見た目が9割?」;空に架ける橋 ほか)
3 字幕屋・酔眼亭の置き手紙(ハコ切りとハコ入り台本;スポッティング;アケまして… ほか)
字幕屋になりそこねた弟子から太田さんへの少し遅れた手紙(星野智幸)
著者等紹介
太田直子[オオタナオコ]
映画字幕翻訳者。1959年広島県生まれ。天理大学外国語学部ロシア学科卒業。2016年1月死去。享年56歳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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toshi
15
映画の字幕を考えている著者によるエッセイ集。 初出別の3部構成になっていて、それぞれ(おそらく)初出の出版物に合わせた内容になっていて作風が違っている。 「その一」はタイトル通り巷で使われている言葉に関することで共感することばかり。ただ各作品に付いているイラストは要らないかも・・。それとちょっとしたギャグをたまに入れているけど全部滑っている。無い方が良い。 「その二」と「その三」は仕事に関することが中心。映画を全く見ない私にはチンプンカンプンなことだらけだけど、意外に面白く読めた。2016/09/09
雪花菜
12
ことば好き、映画好きはぜひ。厳しい字数制限がある中での翻訳に加え、数秒しか映らない字幕をどれだけ美しく見せるかというアキや改行の試行錯誤の積み重ね。映画を観てもほとんど記憶に残らないことが多いけれど、それだけそっと寄り添うように考えられているんだな、としみじみ思う。吹き替えより字幕派なので、字幕屋さんには本当に感謝してます。そして、気になる日本語の話も面白かった。「すぎる」を使いすぎる(ここでも…!)話、敬語を不自然なまでに重ねてしまう話は身に覚えがあるのでこれからはアンテナを立てて言葉に敏感になりたい。2018/05/17
千穂
12
色々な制約がある特殊な翻訳が字幕の世界に住んでおられる筆者の言葉に対する研ぎ澄まされたエッセイ。1秒に4文字しか当てられないと、かなりぶっ飛んだ訳になることもあるんだろうね〜2017/01/28
トーマ
10
図書館本。 字幕翻訳の大変さがわかると同時に、日本語の柔軟さに感動しました。太田さんの文体はリズムが良く、贅肉のない文章なので、すらすらと気持ちよく読めるエッセイでした。常に周りに溢れる言葉を取り上げて考える姿勢は、まさに職業病です。言葉に対する執着心にとても憧れを抱きました。字幕は一瞬で過ぎ去る文章ですが、そこには翻訳者それぞれの個性があることがわかり、日本語の表現度の高さを改めて認識しました。太田さんのエッセイはあと四冊あるそうだので、そちらも是非読んでみたい。太田さんの担当した映画も見てみよう。2017/01/06
NANA
9
図書館本。字幕文化と映画と言葉と文化にまつわるエッセイ。著者の作品は、本作で2作目。世間へのピリッと辛いコメントも、後進への愛のある言葉も、どれもが身になると良いなあと思う。読了後、うかつに「(笑)」を使えなくなりますぞ。2017/01/09
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