目次
第26章 コミンフォルム(一九四七年九月。コミンフォルム結成;ユーゴスラヴィア。批判から追放へ;チトー政権打倒に「テロ裁判」作戦を発動;スターリンのヨーロッパ戦略の決算表)
第27章 中国革命とスターリン(スターリンの戦後中国構想;内戦下、スターリンの二面作戦;ミコヤン訪中。劉少奇訪ソ;アジア・太洋州の全域に中国型武装闘争の大波を;スターリンの目は日本と北朝鮮に)
第28章 一九五〇年(上)(ソ連=中国の同盟関係に道を開く;布石―日本、朝鮮、安保理;中ソ新条約と『毛沢東選集』;左翼支援基金の創設。五〇年五月)
第29章 一九五〇年(下)(朝鮮戦争。「南進」準備‐開戦‐快進撃から逆転の危機へ;スターリン書簡(ゴトワルトあて)は何を語っているか
中国の参戦。スターリン=周恩来会談始末
中国義勇軍の参戦は戦局を一変させた
日本共産党の干渉の深化。「北京機関」。軍事方針)
第30章 一九五一~五三年(朝鮮戦争終結。アジア「第二戦線」戦略の総決算;スターリン、最後の時期とその死)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんすけ
4
1945年からスターリンの死までを扱う。後半は朝鮮戦争勃発の要因を明らかにし興味深い。オーエルのビッグ・ブラザーはこの時期前半のスターリンがモデルになっているとも云われるが、スターリンの悍ましさは確かにビッグ・ブラザーを彷彿させる。読書中に何度もスターリンとビッグ・ブラザーが重なり仕方なかった。スターリンの欲望が東西冷戦を生み出し、アメリカを覇権主義という名の侵略国家に仕立て上げる一因となっていく。著者と意見を異にする箇所もあるが昭和前史を世界史から観る上でも多くの日本人にこのシリーズは読んでもらいたい。2016/10/20
浮草堂美奈
1
小説の資料に。2016/07/10
ひろゆき
1
第二次大戦後、スタ-リンは資本主義との共存あり得ぬと考え、すぐさま第三次世界大戦に備える。そのため、アジアに第二戦線をつくりアメリカを疲弊させ、東欧社会主義の安定までの時間稼ぎをするべく、朝鮮戦争を画策、自らは表にたたず、毛沢東の中国を戦闘正面に引き入れる。そのあたりの、あれこれ。毛沢東のスタ-リンとの駆け引きがなかなか毅然としていて、それなりにさすがと感じる。著者、八十半ばでの膨大な著作の継続は圧倒的な力だが、その巨悪に振り回された人たちがいて、それを防ぎきれなかった組織の問題を何よりも書いてと思う。2016/06/02
kadoyan
1
圧巻ですね。戦中戦後の混乱のなかの世界史上の謎、スターリンが君臨するソ連に関わる世界のとらえ方も大きくかわる解明が次々。スターリンのソ連に大きな影響を受けた社会主義者として、その害悪を余すことなく叙述するその探求の深さと責任の自覚に、読む側としても覚悟が問われる気がした。2016/03/22
yo yoshimata
0
読み応えのある連載でした。秘史ともいうべき不思議なスターリンの振る舞いも、スターリンの覇権主義の邪悪さまで突きつけると、謎が解ける、という解明の連続です。今日でも、科学的社会主義のイメージの多くが、「スターリン時代の中世的な影」をひきづっているだけに、こうした本格的な実態解明が力を持つと思いました。科学的社会主義のルネサンスの一翼として、大事にしたい研究です。2016/03/11