内容説明
この物語の主人公・昌次は、あちこちで、いろんな約束をするが、心からの“ゆびきり”を交わすのは、たったの一回きり。だから、“ゆびきり”という言葉は、この物語のなかで、ただの一度しか使われていない。ちひろさんの美しい挿絵が、下町のちいさな路地うらに、導いてくれる少年たちの楽しくもあり、せつない物語。
著者等紹介
早乙女勝元[サオトメカツモト]
1932年、東京生まれ。12歳で東京大空襲を経験。働きながら文学を志し、18歳の自分史『下町の故郷』が20歳で刊行される。『ハモニカ工場』発表後はフリーで、ルポルタージュ『東京大空襲』(岩波新書)が話題になる(日本ジャーナリスト会議奨励賞)。70年、「東京空襲を記録する会」を呼びかけ、同会による『東京大空襲・戦災誌』が菊池寛賞を受賞した
いわさきちひろ[イワサキチヒロ]
1918年福井県武生市に生まれ、翌年、東京に移る。本名松本知弘。三人姉妹の長女。東京府立第六高女卒。1946年日本共産党に入党。1950年松本善明(弁護士、元衆議院議員)と結婚。童画家として活躍。1974年原発性肝癌のため死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
36
空きっ腹を抱え青っぱなを垂らした少年少女たちの、弾ける笑顔と泣きっ面。戦時下であることを忘れてしまうほど、子供の横顔を生き生きと描いている。主人公の臆病な性質と優しさを見守る家族と友人たち…その背後から忍び足で近づく大空襲の予感。戦火に手綱は焼けどゆびきりは焼けまい、幼心の誠実な約束。【児童書】良書2019/02/16
ヒラP@ehon.gohon
8
最後の章を読むまで、昌次を取り巻く世界と、昌次の生き生きとした日々に、この物語の背景となる時代を意識出来ませんでした。 タイトルの「ゆびきり」にも甘いものを感じていたのですが、最後に描かれた東京大空襲のシーンで、いきなりそれまでに積み上げてきた世界が崩れ去ってしまいました。 東京大空襲までの3年間。誰もが地獄のような出来事を想像もしないで暮らしていたのです。もも子とのゆびきりは、いきるか死ぬかの際のゆびきりだったのです。当たり前の生活がいかに大切なものか、痛烈に感じさせられました。2016/05/07
みかりん
3
昭和初期 戦争中の話。貧しくても 家族仲良く友達に囲まれて 楽しく過ごしてる昌次。それが最後B29の爆撃で全てを失う。心が痛いです。ホンワカな話の短編集だと思っていただけに 最後の章が突き刺さります。人も物も一瞬で奪ってしまう戦争、こんな事は2度としてはいけません。2017/03/16
Kapi
0
おばあちゃんに貰った本。戦争を知らない私達だけの世界が始まろうとしているからこそ、こういう本が大切にされていくべきなんだと思う。2014/01/26
田中
0
表紙の可愛らしさと比べて、哀しくなる最終章でした。2014/01/05
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