内容説明
財界の要求を“丸呑み”!?「社会保障・税一体改革」を徹底批判。貧困が深刻化するいま、人びとの願いにこたえる真の社会保障改革とは。
目次
序章 安全・安心の社会を目指して
第1章 当面の社会保障をめぐる情勢の特徴
第2章 戦後日本の社会保障と財界戦略
第3章 「人間的な労働と生活」を基盤とした社会保障再生提言
第4章 「安定した雇用」の実現で確かな財源の確保を
第5章 社会保障制度改革のための運動づくりの視点
第6章 「二〇一三年問題」―年金と高齢者雇用を考える
著者等紹介
日野秀逸[ヒノシュウイツ]
東北大学名誉教授、労働総研常任理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
15
2013年初版。「社会保障と税の一体改革」の民自公の三党合意の問題点を指摘し、福祉国家にふさわしい社会保障の在り方を提言した本です。今日においても「一体改革」は社会保障改革の根底に流れているものであり、大変勉強になりました。この本の中で福祉国家概念について簡単に整理されています。この本の立場は、修正資本主義として批判的な論がある一方で、単なる支配階級の譲歩ではなく、真の民主主義を志向する独占資本の支配と搾取と収奪に対する規制だと位置づけています。新福祉国家論を考えるうえでも重要な指摘だと思いました。2015/08/28
Takao
3
2013年1月25日発行(初版)。出版直後に購入したはずだが、「積読」になっていた。2012年8月の「三党合意」によって、「社会保障と税の一体改革」関連法が成立した。本書は、これと正確に総合的に対峙して「人間的な労働と生活の実現」を具体化するために必要な、日本の社会保障運動をめぐる諸条件を分析し、短期的、中期的課題を提起するものである(序章)。本書を読んで、社会保障の基礎は、人間らしく働け、生活できるという「安定した雇用」にあるということがよくわかった。「雇用と社会保障の一体性」を心に留めておきたい。2016/11/22