内容説明
犯罪や暴動など、資本家階級への未熟で無益な「反抗」をのりこえて、しだいに組織化され発展する労働運動。社会変革をもとめる労働者階級のたたかいと、その歴史的見通しが語られる下巻。初版刊行40年余ののち、原著のもつ若き日の弱点をエンゲルス自らが補い執筆した各版序文を収めるとともに、本訳書独自の各種索引および解説を付す。
目次
その他の労働部門
労働運動
鉱山プロレタリアート
農業プロレタリアート
プロレタリアートにたいするブルジョアジーの態度
『イギリスにおける労働者階級の状態』追記―イギリスのあるストライキ
アメリカ版(1887年)序文―アメリカの労働運動
ドイツ語版第二版(1892年)序文
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
8
(上)で書けなかったことで、革命論について。当時の労働者階級の闘うすべが少ない(言論での闘いが難しい条件)なかで、エンゲルスは暴力革命の必要性を述べています。しかし、同時に労働者階級が発達することで革命は穏やかになるとも述べています。今日の社会において、労働運動などが社会的に権利として認められ、議会制民主主義が発達していることを考えると、「穏やかな革命」を論じた視点こそが重要だと思います。この書は、先入観や言葉じりをとって読むと、面白みが半減してしまうと思いました。2014/03/28
富士さん
2
上巻に続いて再読。本書の見どころは1892年のドイツ語2版の序文でしょう。初版が出た50年前の状況だと待ったなしだと思われた食うか食われるかの階級闘争が資本の歩み寄りで緩和されている現実がちゃんと指摘されています。資本主義がより根付いたわけだからよくはないとイデオロギー的予防線が張られていますが、実際労働と大資本の癒着によって大衆社会が実現していくことを考えると、まさに労働も資本も資本主義に慣れていくことで分け前を分配する落としどころの目途がつき始めていると言え、現実への誠実さは信頼してもいいと思います。2020/07/06
ちゃんちゃん
0
卒論の参考文献。2017/01/17