内容説明
エリュアールは華やかなシュールレアリスムの旗手から、スペイン戦争の時には「ゲルニカの勝利」の詩人となり、レジスタンスの闘争のなかでは「自由」の詩人となり、共産党へ入党した。彼もまたアラゴンやネルーダと同じように、シュールレアリスム、モダニスムの詩人から共産党員詩人へと進み出て、人民のなかで大きく花ひらき、偉大になった詩人のひとりである。
目次
生地サン・ドニと生まれ
愛と戦争
第一次大戦後のダダ
シュールレアリスム・詩人の失踪
詩人の帰国―モロッコ戦争
別れと出会いと
アラゴン事件
スペイン戦争・「ゲルニカの勝利」
第二次世界大戦
レジスタンス・再入党・アラゴンとの再会
英雄・殉難者・詩人たちの名誉
パリ解放・ニューシュの死
『道徳の教え』
『ギリシャわが理性の薔薇』
ドミニック―新しい愛
平和の顔
神秘をとっぱらおう―エリュアールの詩の読み方
「貧乏人たちの城」
「前」と「後」と
詩人の死
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
22
20世紀フランスの詩人ポール・エリュアールの生涯と作品を、時系列順に紹介した評伝。最初はシュールレアリスムの、共産党の、そして反ファシズム闘争のレジスタンス詩人として活動した彼は「詩は闘争のなかにある」「真の詩人たちは、詩が彼らだけのものであるなどとはけっして考えなかった・・詩は生活のなかにある」と、闘争の同志たちを詩によって顕彰しながら民衆のなかで歌い、特殊さや孤独に閉じこもるエゴイズムを超え、妻への愛から万人へ開かれた愛へと目覚めていく。スペイン戦争やギリシャ内戦でも詩を武器にして民衆の味方となった。2020/08/19