内容説明
本書は、少年期の道徳の教育を、信頼感や希望を育てるということを中心に考えてみた。信頼や希望の問題は、その基礎が形成される乳幼児期と、その危機と飛躍の段階である青年期について話題にされる。しかし今日では、乳幼児期における基本的信頼関係の形成だけでは、青年期の危機が来るまでもちこたえられなくなったように思える。
目次
1章 良い子の弱さと悪い子の強さ(しつけはホドホドに?;いたずらっ子でもいいのか)
2章 道徳と子どもの自主性(少年期と自主性;道徳教育は可能か)
3章 希望はいかに育つか(人間の中核をつくるもの;希望と信頼を育てる)
4章 子どもへの信頼と共感(子どもを信頼するということ;評価・評定ではなくて共感を)
5章 道徳性を育てるやさしさときびしさ(現代の育ちにくさと新しい可能性;少年期の訓練;子どもの日常に自由な時間と場を)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Takao
3
1987年9月25日発行(初版)。30年以上も前、なぜこの本を求めたのか、興味深い。臨教審の頃で、「道徳」に興味があったのかなぁ…。平易な言葉で書かれている本書だが、全体を理解できたかどうかもどかしい…。子どもたちを縛る制約(必然?)が少なくなったぶん、現代の「道徳」教育の難しさがある。道徳の基礎には「希望」と「信頼」があり、そこを基盤に、子どもたちの「自由」と「自主性」に基づき、獲得されてゆくもの…。幼児期や青年期の「道徳」にはそれぞれまた別の課題があるのだろうが…。2020/08/05