内容説明
いま、学校で子どもと教師の上に何が起きているのか。学校・会社・軍隊をつらぬく非人間的な論理と体制に初めて統一的な分析と批判のメスを加え、いじめ・体罰・非行・無気力・低学力の根源と“真犯人”を摘出する。
目次
序章 子どもの世界、おとなの世界(子どもの世界―共同する世界の不在;おとなの世界―ファッション化の進行)
第1章 戦後の管理主義教育(取締り主義的管理主義教育;勤務評定制度の実施と影響;学校管理規則と職員会議;校務分掌組織―その歴史と問題点;学習指導要領と教育課程管理;教育方法統制と思想統制;特別権力関係論;軍隊化と生徒心得・校則)
第2章 現代の労務管理と学校教育(学校を支配するもの;労務管理・軍隊管理・学校管理;労務管理と学習指導;人的統制と学校教育)
第3章 皇国主義教育の復活(戦時下教育の復活;皇国主義とプラグマチズム;全人格的服従と絶対服従;自発的行動性を要求する皇国主義;忠義な青年たち―私的回想として;『国体の本義』における「道徳」;私的道徳としての忠義)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
28
1987年初版。管理主義教育の本質、管理主義教育が子どもと教師に及ぼす影響についてわかりやすく述べられていました。教育のなかで子どもたちを「取り締まり」、同時に事務化・実務化していき、豊かな教育実践を蝕むものとして管理主義教育があるのだと著者は指摘します。子ども一人ひとりの発達に寄り添うのではなく、枠にはめて管理するために実践を事務化するという視点はなるほどと思いました。またファシズムが支配統制だけではなく人びとの積極性をもあわせもちそれを作り出すために管理主義が行われるという視点もなるほどと思いました。2019/01/03