内容説明
幕末維新史は、勝者である薩長サイドの史観で語られてきた。「朝敵」の汚名を着せられた地域は長らく不遇な立場に置かれ、「官軍」と戦った佐幕派の物語も陽の目を見ることはなかった。本書はそうした佐幕派の生き様を伝えるエピソードを集め、ゆかりの地域ごとに紹介していく。それぞれの郷土の先人たちが、果たして「逆賊」であったのか、それとも義をつらぬいた信念の人だったのか、「敗者」の歴史を掘り起こすことで明らかにしていきたい。
目次
箱館 榎本武揚―北の大地に佐幕派の最後の砦を築いた男
斗南藩(会津藩) 山川大蔵―酷寒の地に移住した旧会津藩士の第二の戦い
盛岡藩 楢山佐渡―秋田に攻め込んだ古武士の戦い
仙台藩 星恂太郎―神出鬼没の洋式ゲリラ戦法
仙台藩 伊達邦成―過酷な蝦夷地開拓を成し遂げた「朝敵」藩の意地
米沢藩 雲井龍雄―『討薩檄』に込められた佐幕派の激憤
庄内藩 酒井玄蕃―不敗の進撃を続けた北斗七星の大旗
会津藩 松平容保―成算無き戦いに挑んだ至誠の藩主
会津藩 白虎隊―若き命を懸けた少年たちの青春
会津藩 山本八重―得意の鉄砲で篭城戦を闘った女丈夫〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Die-Go
32
図書館本。幕末維新期に日本を席巻した志士たちの中でも、旧幕府側、所謂「朝敵」とされた人々の活躍を紹介。要約であるため、一人一人の内容は薄いのだが、これだけの人物がいたのだなと、改めて感心。知らない人もいたので、面白かった。★★★★☆2024/12/23
Yoshika Komatsu
2
■土方歳三熱から、幕末本を集中読破中。 ■幕府側の人物については、あまり詳しくなかったので勉強になった。旅行に行く時には、郷土館を訪れてみようと思う。 ■執筆者によって、読みやすさが違う。学術論文のような難解なものもあれば、歴史小説的なものもあり、振り幅が大きい。2022/08/07
nob sat
2
薩長史観の幕末維新を何するものぞ、と18都道府県に渡って存在する朝敵とされてしまった優れた幕府側の人物を、それぞれの研究者約20人が紹介する。一つ一つが短くて不満なところはあるが、幕府側から見る幕末が好きな人にはたまらない本。大河の「八重の桜」は、会津と山本覚馬ばかりでなく、ここまで考えて全国横断的に幕府側の優秀な人物を物語に出していれば、ヒットしただろうに。2014/05/24
nakagawa
1
面白そうな本だったので読んでみた。松平容保や河井継之助や小栗上野介などは知っていたが知らない人物もたくさんいた。西郷隆盛や坂本龍馬は確かに英雄である。しかし朝敵となってしまった者たちもやはり英雄である。彼らは幕府に仕えただけで日本の未来をきちんと考えていた。こんなに情熱的な時代は俺は知らない。今の日本人なんて韓国人や東南アジアの人達にもやる気や向上心では負けている。ネトウヨや右翼なども吠えたり罵ったりしかすることができない。幕末の人たちは学んで、死ぬ覚悟で日本の為に行動していた。朝敵達もやはり英雄である。2017/04/04
such
1
26人の話が入っているため、どうしても一人あたりの説明が短くなり、一人ひとりについて、もっと知りたくなってしまいました。2013/04/30