内容説明
十四歳の銀次が奉公にあがった木綿問屋「大黒屋」で、若旦那の藤一郎に縁談が起こった。話は順調にまとまって、あとは祝言の段取りを決めるばかりというころになって、藤一郎に女がいたことが露見した。女は「大黒屋」の女中・おはる。しかもおはるは藤一郎の子を身篭もっていたのだ。おはるは、藤一郎に二度と近づかないと約束させられ、店を追い出される。おはるが出ていって、しばらくして銀次は藤一郎からおはるへの届け物を頼まれる。尋ね当てたおはるの家で銀次が見たものは…。「居眠り心中」をはじめ、人間の業の深さを描いた「影牢」など9篇を収録。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
東京都江東区に生まれる。昭和62年「我らが隣人の犯罪」で第26回オール讀物推理小説新人賞受賞。同年「かまいたち」で第12回歴史文学賞佳作受賞。平成元年、「魔術はささやく」で第2回日本推理サスペンス大賞受賞。平成4年、「本所深川ふしぎ草紙」で第13回吉川英治文学新人賞、「龍は眠る」で第45回日本推理作家協会賞受賞。平成5年、「火車」で第6回山本周五郎賞受賞。平成10年、「理由」で第120回直木賞受賞平成13年、「模倣犯」で毎日出版文化賞特別賞、平成14年、第6回司馬遼太郎賞、第52回芸術選奨文部科学大臣賞文学部門をそれぞれ受賞。平成19年、「名もなき毒」で第41回吉川栄治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
100
怖いのは人間の業であり、怪談は怖いものというより因縁話…先に読んだ三島屋変調百物語の感想がまんま当て嵌る。同じ世界観にありながら、あの黒白の間ではおいそれと語ることが出来ないような、それは彼の物語で、聞き手が招かれざる客、いや行倒れ同然の語り手の最後に明かした罪にショックを受けてしまったような怖い話も混ざっている。小雪の舞う時期に心の煤落としに語り合うようなゴーストストーリーではなく、ドロドロとした人間の業の物語である。2017/08/08
はなん
22
昔々、宮部作品に掴まったころに文庫版で購入していて、それを完全に失念してしまったもんだから、この新書版を「新刊だ~♪」とお持ち帰り。本棚を見て愕然とした一冊(笑)だけど。うん。同じ新書版の「ばんば憑き」と並べるとなかなかいい塩梅ですよ(^^)ということで、どうにも恐ろしいのは「人の中の闇」である、ということが手に取るようによくわかる一冊。怖い、、というよりもなんだろうなあ。。寒々しい、哀しい、淋しい?その寒さや哀しさに立ち向かえるのもまた、「人」なのです、よね。しみじみとそれぞれの短編を読みました。2013/06/26
はなん
21
今回文庫のほうを友人に贈るから、ってことでの再読。何回読んでも怖いのは人だなぁ、と思うのだった。それでも怖いけれどあったかさも感じて、怪談話だけど好きだなぁ。宮部みゆき時代小説の常連さん(?)もさりげなく登場して、いろんな事で毎回楽しめます。2014/10/18
とうこ
5
タイトル通り、あやしい話の短編集。理路整然としていない、曖昧模糊な感じがとても好みだった。中でも、人の温かい情をすごく感じる「布団部屋」と「女の首」がよかった。2024/07/15
さっちゃん
3
初めて宮部みゆきの時代劇ものを読んだけど、とっても面白かった。短編集で、女中、奉公先に起きた怪談話。「布団部屋」、「安達家の鬼」、「女の首」が好き。“鬼”と一口に言っても、恐ろしいのもいれば、無害なのもいるんだな。人間が一番恐ろしい。2015/02/13
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- 和書
- 認識論を社会化する