内容説明
為政者たちが巨大な公共施設をつくりたがるのは、いつの時代も同じこと。中世において、権威の象徴は「道」であった。「道」の平和を守るため、武士たちはあらゆる掟を連発し、「道」を有効活用するために、住民たちはしたたかに対処した。
目次
第1章 “武士の都市”鎌倉の掟(鎌倉幕府の法;しつこく出された道の掟;犯罪の取り締まり;庶民の娯楽はどこまで許されるか;武士は武士、坊さんは坊さんらしく)
第2章 御家人・戦国大名の掟(豊後大友氏と『新御成敗状』;下野宇都宮氏と『式条』;下総結城氏と『新法度』)
第3章 道路掃除の掟(道路へのこだわり;道路掃除はだれがするのか;聖なる空間;巨大な道路は権力の象徴)
著者等紹介
高橋慎一朗[タカハシシンイチロウ]
1964年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。現在、東京大学史料編纂所准教授。京都や鎌倉をはじめとする日本各地の都市をフィールドとして研究を続け、文献史料を中心に中世都市の実態解明を目指している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
wang
2
鎌倉時代を中心にした武士が出した都市民への法令。当時の法令が江戸時代以降のように布告するものではなく、取り締まる武士への命令として出されたものという形態が面白い。なかなか守られなかったもので繰返し出されるので、実際に都市で起っていることがわかるという逆説的な点も面白い。権力者が必死で理想を守ろうとするのに市民が一向に言うことを聞かない様子はおかしい。2012/07/15
かずくん
1
新聞の書評あるいは紹介欄にあったので図書館から借りて読んでみた。武士が守るべき掟が話の中心と思っていたところ、さにあらんや、武士が作った掟の話であり、それが道に関することだった。ただ日本とヨーロッパの中世において、死者や死体に関する違いが書かれており、興味深かった。2024/07/21
三頁(さんぺーじ)
1
統治する側の武士と、統治される側の民衆の鬩ぎ合いを「法=掟」から読み取る……鎌倉だけでなく分国法も扱い、そこから都市論へと展開していく。法の網目を掻い潜ろうとする輩は、この頃から既にいたんですね(笑)2012/07/23
-
- 洋書
- Unraveller