内容説明
農耕や定住をせず、日本の山中や河原をわたり歩き、川魚漁や竹細工を生業とし、一九六〇年代には姿を消したとされる「漂泊の民」サンカ。彼らの起源は?彼らはどのような人々だったのか?三角寛や柳田国男をはじめとするサンカ研究、差別の歴史、サンカと東北の漂泊民の関連など、さまざまな視点からサンカを考察した一書。そして、ロマ民族、インドの「アウトカースト」、朝鮮の「白丁」など、世界の放浪民・被差別民の論考も収録し、差別を生みだす社会的システムの実態と、差別をどのように克服してゆくのかについても思索する。
目次
第1章 サンカ・漂泊民・被差別民(対談 サンカ、漂泊民、そして被差別民への視座(沖浦和光/朝倉喬司)
対談 差別・被差別からの解放そして、アジア的相互扶助の可能性へ(宮崎学/宮台真司))
第2章 サンカとは何者か?(柳田国男と狂気の挫折―山人・サンカ・被差別民への接近(今井照容)
サンカと東北の漂泊民(赤坂憲雄)
岩窟に住む家族たち―九州の「漂泊民」サンカ像(服部英雄)
我が故郷のサンカを想う
漂泊民の別天地―夢野久作の小説世界
“被差別からの反逆”じし「八切サンカ論」の神髄だ!)
第3章 世界と日本の被差別民・放浪民(ジプシー(ロマ民族)との出会いから思う随想曲(緒方修)
インドにおける被差別民と仏教―被差別からの解放と改宗(保坂俊司)
「白丁(ペクチョン)」とよばれた人たち―朝鮮の被差別民(高正子)
水平社が照らす部落差別の実相)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
40
仕事柄、関係するものが出来たので勉強のための一冊。知らないことが多く、非常に面白く、考えさせられる中身だった。歴史は表、裏の執筆で織りなされる・・勿論私たちが見て来たのは表歴史・・勝者のソレ。歴史の底に沈殿したといえば失礼だと思えどもそう言った場面に蠢いてきた歴史・・日本のみならず、ナチス虐殺の歴史でもロマの人々が居る。現在に至るまで解明が進んできているとはいえほとんど生活自体は変わっていない事を思う。
4fdo4
2
「サンカって何?」という方には勧めない。ある程度知っている事を前提に書かれている。アメリカの黒人差別、インドのカースト、ヨーロッパのロマ民族など既知も多いが、朝鮮の「白丁(ペクチョン)」は初耳であり興味深かった。と、読み進めていくと最後にガツンと食らう。読むなら覚悟を持って。2012/04/10
ヤマダ キヨシ
0
☆☆2014/01/24