内容説明
骨董・古美術の「いい」「わるい」を愛情あふれる語り口で率直に鑑定する著者のエッセイ集。お茶の間に定着した「開運!なんでも鑑定団」における本阿弥光悦の茶碗の鑑定の難しさや仁阿弥道八のたぬきの置物の真贋などお宝にまつわるエピソード、番組の貴重な内輪話、そして養父のもとでの修行時代の苦心談や、五十年にわたる鑑定の経験を生かしたやきものの見方・楽しみ方もわかりやすく解説。著者の半生とともに、「美の開眼」に誘った日本全国にわたる数多くの名品・珍品のやきものの魅力あふれる世界が目の前に広がります。
目次
開運!なんでも鑑定団のやきもの(放映第一号は葵紋茶碗;光悦茶碗の謎;仁阿弥のたぬき ほか)
私を育ててくれたやきもの(卯花墻;破袋の水指;安倍安人の備前 ほか)
ふりかえればやきもの(古伊万里のコレクション;京焼の湯呑み;「大羽」の備前 ほか)
父と娘で語るやきもの
著者等紹介
中島誠之助[ナカジマセイノスケ]
1938年、東京都生まれ。古美術鑑定家。「骨董屋からくさ」店主時代の経験を生かし東洋古陶磁を研究、とくに古伊万里磁器の魅力を世に広める。テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」にレギュラー出演(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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遅筆堂
20
この分野、ご多分に漏れず魑魅魍魎の世界に感じる。絶対に手を出してはいけないところだが、そういう中でそれなりの論拠でもって生き延びていくことは並大抵の努力ではないだろう。その辺の整理の付け方をなんとなく伝えてくれる1冊。自宅で嗜む酒一献に拘る徳利、御猪口、高価なものでもなくても良い、そこにどう価値を見いだすかだけ。多分、やきものだけの世界だけではないのだろう。そういう価値観を気づかせてくれるだけでも無駄ではないのでは。2011/12/05
白玉あずき
7
骨董と家普請は身上を潰すから手を出すな、と親からも言われ亭主にも言われ。凡百の者の関与することではないかもしれないが、だって~興味があるんだもん♪。「破袋」の水差しが、「やきものが作りえた造形の頂点」とか「見るたびに思考が変動し、魂が揺り動かされる」と描かれていたので、早速口絵写真を凝視してみたが、なんともヘンな汚い色の壺くらいにしか見えない。ああ情けない。同じ一生でも中島先生の世界とはすれ違う事すらなくて、憧れはするがもう無理。でもきゅうりの漬物だけは三角に切ったら美味しかったので、これからマネます。 2014/05/01
コカブ
1
「開運!なんでも鑑定団」に出演している中島さんのエッセー。テレビに出ているのしか知らないが、ちゃんと骨董屋さんをしているのだとよく分かった。両親を亡くして親戚の家に引き取られ、そこの養子になった。親戚は虎の門で骨董屋を営んでおり、自然と鑑定眼が養われていったのだという。空襲で焼けた店跡から器を掘り起こす話などが印象的だった。自分で骨董店を開業した後も、ご祝儀買いをしてもらったり、同業者の競売会で競合を出し抜いた話、ちょっと小狡いことをして売り抜けた話、一度売ったものが手元に返ってきた話など印象的だった。2014/12/14
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