内容説明
熊野・鎌倉・京都。信・不信を選ばず、浄・不浄を嫌わず、一心に念仏流布を願った「捨聖」の一生。
目次
プロローグ 遊行聖・一遍の系譜
第1章 出家・還俗・修行―俗塵にまじわりて恩愛をかえりみる
第2章 熊野への参篭―恩愛を捨てて念仏に生きる
第3章 悟りの境地―衣食住の三は三悪道なり
第4章 布教の深化―虐げられし者にこそ神仏の恩寵あれ
第5章 踊り念仏の創始―捨つる心を捨つる、経文も
エピローグ その後の時宗
資料編
著者等紹介
井上宏生[イノウエヒロオ]
1947年、佐賀県生まれ。作家。スパイス・カレーの研究でも知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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肉尊
33
徒手空拳だった一遍。彼は遁世門の中の異色の存在であり、衣食住も三悪だと言い放つ。ある母子と熊野詣まで同行していたが、それは自らの業を背負いながら成道を目指したのであり、母子との断絶からは、衆生に救いの手を差し伸べる遊行を実践した。いわゆる「捨聖」である。浄、不浄を問わず念仏札を配り続ける態度は、次第に衆生に受け入れられる。いや必要な存在とされてくる。悪党が一遍たちを守りぬいた話も面白い。一遍は念仏を通じて時間的にも空間的にも南無阿弥陀仏の世界が永続されることで現世に理想の仏国土を実現することだった。2021/12/16
つばな
0
分かりやすく読みやすい。一遍の人生を知るならお勧めの一冊。2014/11/29