内容説明
南部氏との抗争に敗れた安藤氏は、十三湊からいったんは逃れるが、幕府の調停により、再び奪還する。―史料と発掘成果が一致する十三湊は、優れた文化的景観を残す貴重な港湾都市遺跡である。中世十三湊のダイナミックな変遷を永年の発掘調査の成果で明らかにする。
目次
特別講演 十三湊遺跡発掘調査一〇年
中世の主要港―三津七湊の現状と十三湊
安藤氏と金石造文化財
十三湊の都市構造と変遷―発掘調査一〇年の成果から
十三湊遺跡―港湾部・町屋地区・檀林寺の調査
推定家臣団屋敷地区の様相
唐川城跡の発掘調査
解説―新たな十三湊像の出現
中世ロマンの里市浦村
著者等紹介
千田嘉博[センダヨシヒロ]
国立歴史民俗博物館助教授
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感想・レビュー
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きさらぎ
9
旅行の下準備に。十三湊発掘十周年記念フォーラムをまとめたもので、2004年出版。勿論1993年のシンポジウム本より格段に内容は充実しており、本としての完成度もさることながら、続けて読むと「この十年でこれだけの成果が蓄積された」という事自体にもちょっと感動してしまう。一般向けのフォーラムなので、解説は丁寧で図版も多く、巻末に名所案内(位置関係の地図だが)なども掲載されていて便利。文献資料ではなく発掘資料の解説がメインなので、少々お勉強気分にはなってしまうのが。個人的には「人」が見えてくると楽しいのだけれど。2017/02/22
moonanddai
8
92年から本格的に始まった十三湊発掘調査10年を期して出版された。10年間(というかおそらく今でも)続けられた調査により十三湊の姿が大分見えてきたし、若干のイメージの修正も必要になってきたと思われる。その辺を色々書こうとは思いましたが「ざっくり」言って、まちづくりは中央の土塁をはさんで、北から南へ進みながら全盛期を迎え、南部氏との戦いで、砂にうずもれた(文字通りの)廃墟となった。その後近世津軽藩時代に再び湊として使われだしたが、砂で埋もれ衰退…、ということになる。2024/06/12
えひめみかん
0
アマチュア的には論文集よりこの本みたいなフォーラムの講演集の方が読みやすいらしい。また、自分が環境考古学分野が好みであることを再認識。2015/06/02