内容説明
アイヌ民族、最大の蜂起!寛文9年、松前藩に苛酷な収奪に抗して遂に決起したアイヌ・シベチャリの総首長シャクシャイン―。北の大地に繰り広げられた寛文アイヌ蜂起の全貌とシャクシャインの戦いの軌跡と生涯を描く雄渾の書き下ろし歴史長篇小説。
著者等紹介
大森光章[オオモリコウショウ]
大正11年、北海道に生まれる。明治大学中退。「ラマンチヤ」「文芸日本」「円卓」「文学界」「新潮」等に作品を発表。「名門」「王国」「培養」が芥川賞候補にあげられる
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感想・レビュー
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champclair´69
1
#読了 寛文9年(1669)松前藩の過酷なアイヌ支配に対し、敢然と反旗を翻した首長シャクシャイン。 意外にもこの乱の発端となったのは、アイヌ同士の抗争であった。 しかしそこにつけこんでアイヌ支配を企んだのが和人=松前藩だった。強者が弱者を搾取する歴史はよく繰り返されるが、松前藩及びその周辺の商人達の悪辣さは目に余る。そしてシャクシャインに手を焼いた松前藩は、最後は卑怯にも一族を騙し討ちにするのである。 明治以降も狡猾な和人によって土地も言葉も奪われたアイヌの存在を、負の日本史と共に忘れてはならない。 2022/10/12
RuiRui
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特に前提知識はほとんどなく読み薦めたが、アイヌの言葉に苦しむ。コタン=集落ぐらいの意味はわかっていても、その他のカタカナ表記が人名なのか地名なのかモノの名前なのか、最初にカッコ書きがあるぐらいで後は文脈で理解していかざるをなくてその辺で余計なアタマを使った。砂金取りで汚れた川に鮭が遡上しなくなる不漁から松前藩との不和ははじまり、松前の財政難から、一方的な不利な物々交換レートの押し付けが蜂起へとつながる。藩の財政政策の転換・方針がうまく遂行されなかった帳尻が、このような戦いに発展するのはむなしいものだと。2014/02/25
えひめみかん
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締めの一文「アイヌの悲劇の幕開けであった」に心引き裂かれる2019/06/30