内容説明
一人一殺!井上日召によって護国血盟団が結成され、政・財界の要人テロ計画が動き出した…。国家革新をめざした青年たちと激動の昭和史を描く渾身の長篇力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
北条ひかり
1
4時間58分(島根ライトハウスと音訳者さんに感謝) 正直よく理解していなかった五・一五事件を、ようやくこの本を聴くことでわかったような気がします。井上日召・血盟団がどういう意図で活動していたのか、歴史的事実としての昭和金融恐慌は知っていましたが、具体的な生活感のレベルでは理解できていなかったので、漠然としたままだったんですね。2015/11/08
シュラフ
1
血盟団事件から5.15事件にかけてがテーマ。血盟団事件では前蔵相・井上準之助や三井合名・団琢磨が暗殺され、5.15事件では犬養養首相が暗殺された。世界不況の影響が日本経済に及んで、都市部では失業者があふれ、農村は娘を身売りするまで困窮。政党政治化・財閥重鎮・特権階級に対する反発が高まり、血盟団・青年将校によるテロに至った。5.15事件後には軍人内閣が誕生する。ある意味で太平洋戦争に至るきっかけ。当時の時代の閉塞感を知る。国内経済の苦境、政党政治の混乱、軍部の独断専横など重なり合って日本は太平洋戦争に突入。2012/09/24
三田郎
0
昭和維新、血盟団事件の原因として社会背景を主に取り上げており、昭和初頭における北関東の寒村のひもじさと退廃した東京の様子がひしひしと伝わってくる。当時の生活がとてもよくわかる隠れたる良著である。2023/09/26