内容説明
陸・海・空を問わず、「矢矧」と時を同じくして戦い、その生命を戦場に散じた総ての英霊を心から弔う鎮魂の書。
目次
矢矧誕生
劣勢の連合艦隊
戦機熟す
サイパン沖の惨敗
再びリンガ泊地へ
捷一号作戦の準備
ブルネイへ北上進出
暁の奇襲
シブヤン海の海空戦
全軍突撃セヨ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NICK
3
水雷戦隊の旗艦となるべく建造されながらも時代が航空戦主流となっていったためその性能を十分に発揮することができなかった新鋭軽巡阿賀野型。その三番艦「矢矧」にスポットを当てた末期太平洋戦史。マリアナやレイテといった矢矧が出撃した戦場は空母、および航空機が戦力の主軸であり、帝国海軍の得意とする砲撃、雷撃は時代遅れのものであった。高性能巡洋艦として産まれながら、マリアナから事実上の自爆特攻である天一号作戦での最期まで、日本の凋落とリンクするようなその生涯は何か無常さを感じさせる。2015/03/24
竜王五代の人
0
作戦に参加した中では最後に竣工した巡洋艦「矢矧」、それが参加した太平洋戦争末期の海軍の三つの大海戦「マリアナ沖」「レイテ沖」「大和特攻」の三つが取り上げられている。矢矧自体の記録としてよりも、海戦記としての面が強い。これは、矢矧記を執筆することを期待され資料も集めていた元乗員の池田武邦が直接執筆しなかったからではないかと思う。記憶に残ったのは、水上機の扱いで、レイテ沖では艦隊から基地に集約して運用、坊ノ岬では矢矧には搭載していて途中で陸上に送る、と、有効活用に困っていたと観た。2021/02/23