内容説明
「生きていた。王の御子が生きておられた。デイミアノス」正体が明らかになった今、デイメンはローレントに自分こそ彼の兄を殺した仇であるという真実を告げなければならない。だが約束の場所、シャルシーにローレントは現れなかった。その頃ローレントはグイオンの手に落ち、地下牢に囚われていたのだ。そして目の前には彼を憎むゴヴァートの姿が―。ヴェーレとアキエロスの戦力をたばね、王子たちは執政の企みから母国を守ることができるのか。そしてふたりの思いと運命の行方は―!?叛獄の王子三部作、ついに完結!
著者等紹介
パキャット,C.S.[パキャット,C.S.] [Pacat,C.S.]
これまでイタリアのペルージャや東京など、様々な街に住んできた。メルボルン生まれでメルボルン大学を卒業、現在もメルボルンに暮らしながら物語を書いている
冬斗亜紀[フユトアキ]
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感想・レビュー
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そらねこ
34
凄く凄く面白かった。最近女々しかったりどこかで読んだような?というBLも多くてもっと骨格にしっかりした読み物を読みたいと思いながら手に取ったこの小説。最初はBLになるのか?というくらいラブもエロも無し。そしてそれがイイ。敵国の王子同士、しかも攻めが奴隷に落とされる。いかにもな設定だけど、徐々に相手の事を知り育まれる信頼。作り込まれた設定が次から次へと展開して飽きない。BLというよりも先に骨太な王国ファンタジーとして読めるのが最高だと思う。二人の王子の陰謀との戦い、共闘凄かった。文句なく素晴らしい作品。2019/04/06
きょん
31
はぁ~最後までハラハラした。様々な出来事を通じて少し思慮深くなったとはいえ、あくまで真っ向勝負なデイメンと、少しデレを見せたとはいえ知性で勝負のローレントふたりとも芯のところは最後まで変わらないのが良かった。とんだビッチと思っていたジョカステの違う面が見られ印象が変わった。最後一気に収束しちゃったので、後日談が読んでみたいな。2019/02/04
モルテン
30
どうしたらこんな素晴らしい作品が作れるのだろう。叛獄の王子最終巻。序盤から次々と新たな問題が生じ、そのたびに展開は大きく変わり、「ああっ、どうなるの!?」と、読んでいるこちらは翻弄されるのみ。振り返れば、そこには2人の王子の「王への道」が。貴種流離譚であり、軍記ものであり、兄弟たちの話であり、二人の王子の憎しみと葛藤と、その果ての愛の物語であり、王道の道のりだった。なんとまっとうな骨太ファンタジーだろう。一つのジャンルにとどめるのがもったいない。この作品に出会えてよかった。また時間を置いて再読するつもり。2019/01/26
のこ
29
いや〜面白過ぎて読み終わった最初の感想は、えーっもうお終い?もっと読みたいのに〜です。培われた筈の信頼関係が損なわれそうになったり、物語は押しつ戻りつ二転三転、最後の絶体絶命のピンチの末の大どんでん返しは最高でした。母の愛を甘く見てはいけないですよね。何より驚かされたのはローレントの推察で語られるジョカステの本意。そんな愛し方もあるのかと。で思い出したのが1巻の最後の、デイメンに捧げられる筈だった奴隷のエラスムスのお話。エラスムスを陥れたカリアスの本心もまたジョカステと同じだったに違いないと気付かされた。2019/01/15
菫子
28
三部作の3作目(完結)。ふたりの王子の正反対な魅力全開!とくにローレントの頭脳明晰な闘いぶりに痺れる。予測不能な展開、共闘と伏線回収のカタルシス!失速することなくラストまでスピード感ある展開と情緒あるエンディングと1作目では予想できない甘いロマンスとローレントのはにかみまでみられて大満足。演武会のオクトンのシーン等の描写が鳥肌もの。ローレントはデイメンの正体を最初から知ってたのだとわかって1作目からまた読み直したくなる。何度もいろんな視点で味わえる深い作品。素晴らしい! (原題 Kings Rising)2019/01/28