内容説明
アドリアンの小説に映画化の話が持ち上がり、出席していたパーティ会場で映画のスポンサーが突然死する。調査にやってきた刑事を見てアドリアンは凍りついた。そこには2年前に終わり、まだ傷が癒えてはいない恋の相手・ジェイクの姿があった。ジェイクの部下はアドリアンに疑いの目を向ける。被害者の体から検出された毒の中に彼の心臓の薬と同成分のものが含まれていたのだ。アドリアンはジェイクの協力を仰ぎながら独自に事件の調査を始めた。俳優のポール・ケインからジェイクとの過去を聞かされ、ざわついた気持ちを抱えたまま。そしてジェイクは2年前に言えなかった言葉を語り出す―。胸に突き刺さる怒りと痛み。相克と再生の第4弾。
著者等紹介
ラニヨン,ジョシュ[ラニヨン,ジョシュ] [Lanyon,Josh]
ゲイ・ミステリ作家。複数の受賞歴を持ち、十年以上もジャンルの先端を走り続けている。ゲイ小説ジャンルからスタートし、M/Mジャンルを牽引して流れを作ってきた作家の一人、ミステリからアクションまで幅広く執筆
冬斗亜紀[フユトアキ]
原書にはまり、M/Mに足を踏みこんで今に至る。M/Mレビューサイトを運営中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くたくた
60
ジェイクと別れてから早2年、とはいえアドリアンの心にジェイクが残した傷は拭いがたく。そんなときアドリアンが出席したパーティーで死人がでて、アドリアンはまたしても殺人容疑者リストに並ぶことに。あろうことか捜査担当者はジェイク・リオーダン、しかもパーティー主催者のケインはリオーダンの5年来の恋人(SM)で、ジェイクが結婚したあとも2人は続いていた?! と、どこまでもジェイク!貴様ぁ!という内容なんだけど、自分の性指向を拒絶しているジェイクのしんどさも合わせ見ると、ジェイクを責めきれないのがとにかく切ない。2022/02/20
ちゃりんこママ
59
読後に「魂の救済」という言葉が頭に浮かんだ…何の言葉だっけ?調べるとプラトンの哲学…我々の魂は、かつて天上の世界にいてイデアだけを見て暮らしていたのだが、その汚れのために地上の世界に追放され、肉体(ソーマ)という牢獄(セーマ)に押し込められてしまった…云々。これがジェイクでアドリアンは「愛知」の存在か…と、ここでヘッセの長編「知と愛」を読んで結局何にも解らなかったのに、このシリーズがめっちゃ面白くて解り易いと感心しております。2016/05/26
はつばあば
49
前回から2年たってアドリアンとジェイクが邂逅したのはまたもや殺人事件。ジェイクの為に捜査に協力するものの嫉妬に身を焦がすアドリアンの気持ちが切ない。この二年間でジェイクはいっぱいの仮面を被って暮らしてきたのだろう。そんな時にアドリアンと出会って・・自分にとって大切な人がやっと分かったのだろう。この時代カミングアウトってものは中々できるものではない。それこそ世間に家族の中に犯罪者を出したような扱いを受けるようなものだろうと思う。ジェイクが仕事を辞めて事務所を開くなら、次巻から二人の関係に安心して読めそうだ2018/08/24
きなこチロル
47
【AEシリーズ4】二年前の別れからアドリアンは傷付いた野良猫のように刺々しくてキリキリと締め付けられた。ジェイクも煮え切らない態度で緊張感が漂っていてハラハラ。ラストのジェイクの穏やかな問いかけに涙を流すアドリアン。自分の為だけではないだろうと思うと涙が。別離と再会はここまで辿り着くのに偶然ではなく必然だったか。「冗談だろ。お前ほど度胸のある男は見たことがない」「それはただ、僕らが同じものを怖がっていないだけだよ」《わかっているだろジェイク。これは、僕らがやっと互いに言えた本当のさよならだよ。》2015/02/09
扉のこちら側
44
2018年324冊め。再読しても、ジェイクの『交友』ぶりにはため息が出る。警察官としてのジェイク、夫としてのジェイク、ケインの前のジェイク、アドリアンの前のジェイクといろんな顔を使い分けていたと考えるともはや自暴自棄になっているとしか思えないな。これまでの言動も、自分ではどうしようもなくなってきている表れだったのかも。2018/07/15