内容説明
経営学部生の和音は、塾講師のバイトをしている。そこへ社会人の日下部が、医学部受験のために入塾してきた。本来の志望進路もゲイである己の恋心も、すべてを諦めてきた和音。誕生日の夜、胸にしまい込んだその秘密を、和音は日下部に吐露する。現実的ではない夢のためにひとり戦う日下部は、ただ黙って話を聞いてくれた。そんな年上の男に、和音の心とからだはやがて惹かれてゆき…?優しい年の差ロマンス。
著者等紹介
夕映月子[ユエツキコ]
小説家。第25回チャレンジスクール特別長篇部門にて、「天国に手が届く」で佳作を受賞、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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扉のこちら側
67
初読。30歳すぎからの医学部受験。全部自分で抱え込む主人公がいじらしかった。2012/08/25
えみみ@ヒプマイ沼
49
夕映月子先生初読みです。本編を読んだだけだと、二人の気持ちにどうもうまくついていけずに....(・_・;)ってなっちゃいました。だけど、うってかわって!書き下ろしの遠距離恋愛編は楽しく読めましたv(もちろん遠距離なので展開はラブラブハッピー↑↑ではないですが(^_^;))スカイプで毎晩話す二人。画面越しでのもどかしさが伝わってきました。ホントに直接会えたらいいのにね。それと、恋愛に不慣れな宮下くんを包み込むようなスタンスでいる日下部さんと、大人の余裕がどっかいっちゃってる日下部さん、どちらもd(^∀^〃)2012/12/28
IENEKO
34
登場人物の心情を丁寧に、抑え目に描いていく夕映さんの文章がとても好き。30を過ぎてもう一度進路を選び直そうとする日下部と、様々な事情から好きなことも好きな人も諦めようとしている和音の双方の心境が胸に迫る。表題作では何度も落涙。日下部が一人称を『俺』と言う場面がいくつかあり、ここではいっぱいいっぱいだったんだなぁ、と苦笑。書き下ろしは日下部視点だったのも良かった。彼から見た和音の純粋さ不器用さ物馴れなさが愛しくて仕方がない。この2人は堅実に生きていけそうな安心感がある。地域医療はやっぱり山の近くになるのかな2012/08/17
流咲月
31
初読み作家様。続きが気になって、睡眠時間を削って読んでしまった。少し前の月村さんの作品に似た作風で好き。社会人だが、医学部受験の為入塾した生徒の日下部。家庭環境等から、進路、そして失望しない為に自分の恋心も今まで諦めてきた和音。2人とも地味な印象だが、それすらも味になっている。読了後、和音が日下部に出会えて本当に良かったなと思った。後半は視点が変わっていて好きな構成。心理描写がしっかりしていて、読了後の満足感が心地よかった。他の作品も是非読んでみたい。2013/01/25
tera。
24
予備校講師のアルバイトをする大学生・和音と大学職員で医大受験のため予備校に通う日下部とのお話。 派手さは一切ないのだけど、二人の気持ちが静かに近付いて行く様子が丁寧に書かれていて温かさを感じた。色々な理由で沢山の事を諦めてきた和音が、今回は諦め切れずに行動を起こせて本当に良かった。後半は日下部視点で進むのだが、離れて暮らす二人が互いを大切に思っていて、落ち着いた大人だと思っていた日下部が、結構必死な感じなのが伝わってきた。作者のブログに弟視点のその後の話がUPされているのが、兄を思うとてもいい話だった。2014/04/15
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- 和書
- 獅子の棲む国 中公文庫