内容説明
短歌は線の文学である。人生という時間と濃厚に関係する文学である。瑞々しい青春期の作品も、人生の終焉を見つめる作品も、それぞれ異なった魅力をもっている。燃えるような相聞と、かなしみを堪える痛切な挽歌が、同じ歌人の前期と後期にならんでいることも不思議ではない。本書は、前川佐美雄から梅内美華子までの101人の代表歌30首(多くが自選)を収録したものである。
目次
明治(前川佐美雄;柴生田稔 ほか)
大正(宮柊二;高安国世 ほか)
昭和/戦前(尾崎左永子;岡井隆 ほか)
昭和/戦後(日高堯子;沖ななも ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
29
#佐伯裕子 #短歌 数分の痛苦ののちは鮮しき未明 death by hangging 済む「春の旋律」万の声あげて吹きくる大陸の黄なる風とわれも染まらん「未完の手紙」パラソルをかざしてゆくよ有史より死者は生者の数を凌ぐに「あした、また」2016/11/02
かふ
17
小高賢編集の現代歌人のアンソロジー。戦後活躍した昭和の歌人だろうか前川佐美雄から梅内未華子まで101人の各30首ということだが、俵万智世代までが入っているので勉強になる。結社や主宰誌の系統も書かれており師弟関係もわかるのでそれがいい。ざっと見て気に入った歌人を見つけるのに便利かも。2024/11/15
kaoru
9
小高賢という人は大変優れた鑑賞者だったと感じる。佐藤佐太郎から河野裕子、寺山修司といった代表的な歌人101人の秀歌を30首掲げて論じているが、その視線の的確さに驚かざるを得ない。人口に膾炙した歌人ばかりでなく、小野茂樹、岸上大作といった夭折した歌人、永井陽子や奥村晃作に代表される個性的な歌人など、本書を読めば現代短歌がかなり理解できる。ライトバースが嫌いな私は、穂村弘のような歌人が現代を代表する存在とされることに抵抗も感じるが、短歌という詩型がこれからどのように生き永らえていくのか見守っていきたい。2017/12/02
はち
5
あまりにも重たい一冊。現代短歌がどこから始まるかは様々な意見があるのだが、概ねこの一冊があれば俯瞰はできるだろう。いまだとあまり触れられない歌人もいるし、なぜこの人が取り上げられてないのだろう、と思うこともあるけど、それもまた味。2016/02/29
すずちう
3
勉強になったけど、読むのには根気を要した。短歌ってページに余白がないとうまく読めない。2011/11/12
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- 和書
- 二十世紀研究 〈第4号〉