- ホーム
- > 和書
- > 人文
- > 文化・民俗
- > 文化・民俗事情(海外)
目次
1 ローマの理念
2 ローマの改造
3 第三のローマとは何か
第4章 イタリアの再生を求めて
5 第三のローマとファシズム
6 ファシズムのローマ改造
著者等紹介
藤沢房俊[フジサワフサトシ]
1943年東京に生まれる。早稲田大学大学院博士課程修了。文学博士。1970年~71年ローマ大学、1973年~75年イタリア歴史学研究所に留学。近現代イタリア歴史専攻。イタリアの国民形成をめぐる諸問題を追究している。現在東京経済大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
75
ファシズム「イタリア帝国」の野望は古代ローマの皇帝を現代に蘇らせようとした。フォーロ・ロマーノ遺跡群の脇を一直線に延びる広大な道がムッソリーニのローマ改造の象徴「帝国の道」であるという。皇帝のローマ、教皇のローマ、それに続く統一イタリアのローマを第三のローマとする。リソルジメントを経て統一されたイタリア王国。その国王を祭り上げてしまったイタリア帝国。ムッソリーニは自らをローマ帝国の創建者アウグストゥス帝に重ねる。ローマの街は歴史に溢れ、旅行者は第一、第二のローマに目を奪われ第三のローマを余り意識しない。2020/03/08
ふぁきべ
10
ローマという単語は一つの街以上の意味合いを持つ。欧州文化の起源であり、欧州の多くの都市はローマ都市に起源をもつ。ローマは古代の象徴であり、そして中世から近代までも権威の象徴であった。本書は、その『ローマ性(Romanita')』がイタリア統一と国民統合に際してどのように利用され、それがどのようにローマという街の現在の在り方や街並みに表れているかを巧みに書いている。とりわけファシスト政権下でのローマ改造が今日のローマを強く規定していることはローマという街を愛するものすべてが知っておいて損はないだろう。2020/03/02
unpyou
3
引き続き藤澤房俊著のイタリア近現代史。古代のローマ、教会のローマに対して、近代イタリアにふさわしい人民のローマを作ろうというマッツィーニの「第三のローマ」論が、サヴォイア王家のもとのナショナリズムを経て、ムッソリーニのもとて「イタリア帝国のローマ」というイメージ装置に変わっていくまでを描く。統一イタリア王国の強固な反教権思想(イタリア王国軍が教皇軍を破りローマに進入した9/20が記念日として祝われてきた)が、ムッソリーニのもとでは「フリーメーソンの思想」として軽視されていく過程等も面白かった。2015/05/26