目次
第1章 暗室のなかのアリスたち
第2章 十九世紀写真史のなかのキャロル
第3章 アリスたちと反アリスたち
著者等紹介
高橋康也[タカハシヤスナリ]
1932年、東京生まれ。東京大学英文科卒。東京大学名誉教授。2002年逝去
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感想・レビュー
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ホウ
3
何度も手に取っている本。長い事カメラの前に立たされ不機嫌そうな少女たちの少し沈んだ表情が逆に可愛らしい。しかし、個人的な目当ては終盤。ヴィクトリア朝における本物の闇を体現した少女たちは、手を伸ばしたら指先から彼女たちの持つ空気に飲まれていきそう。綺麗は汚い、汚いは綺麗、これもイギリスの話だった。2025/04/30
くさてる
3
ルイス・キャロルによる少女写真集。プラスαで、当時の(キャロルはモデルに選ばなかったような)市井の少女の写真も添えられている。服装や小道具、髪型んからうかがい知れる時代背景も面白いのだけど、どの少女も可愛らしい笑顔とはほど遠い表情で(それは当時の写真技術の影響らしいけれど)、それがまたあの有名なテニエルの絵を思わせて興味深かった。当時の光と影の両方を知ることが出来る一冊だが、正直、影の部分の写真はただ痛ましい。2012/09/14
茶器
3
画家ミレーの描いた『愛娘メアリー』と、キャロルのレンズを通して切り取られた『少女メアリー・ミレー』がみせる視線の違いにどきりとした。一瞬で終る、『少女』という特殊な時間をキャロルは本当によく知り尽くして硝子板のなかに閉じ込めていると思いました。2012/07/18
テツ
2
金髪碧眼ではない利発そうなアリス・リデル。 瞑想的な表情を見せるキャロルは永遠の真理を表す数学と同じように、写真の中で静止した少女たちに安心し、自身の完結的なナルシシズムを充足させたのかもしれない2010/10/11
しろのあ
1
当時のミドルクラスのお嬢様を知るのに有益な写真集。絵の資料にも。画家のミレイ一家の写真などもあって興味が尽きない。キャロルの写真は本職ではないものの、繊細さというか詩的なムードがあって、女の子たちが奇跡のようかわいいです!赤ずきんコスとか、合成写真などの試みも面白い。ただ、表紙はなんでアリス・リデルにしなかったのかな?2013/02/11