内容説明
敗戦後の廃墟から新生への願い、被害者のみならず加害者としての原罪意識、そしてユーモアによる現実相対化への格闘―戦後文学を貫く課題の中で、作家たちはいかなる文学を創造してきたか。
目次
現代のヨブ―北条民雄『いのちの初夜』
人生足別離―田中英光『さようなら』
死と焔の祈り―原民喜『夏の花』
汚辱と聖性と―椎名麟三『母の像』
不幸な女性たち―椎名麟三『美しい女』
諧謔と真剣さの統一―椎名麟三のユーモア
人肉食の逆説―武田泰淳『ひかりごけ』
生体解剖の罪―遠藤周作『海と毒薬』
心の奥に潜むもの―遠藤周作『わたしが・棄てた・女』
現代の同伴者―遠藤周作のイエス像〔ほか〕
著者等紹介
斎藤末弘[サイトウスエヒロ]
1936年北海道に生れる。1959年国学院大学文学部卒、角川書店編集部、日本キリスト教団出版局、東京電機大講師をへて、1978年から西南学院大学文学部教授。1960―1973年、椎名麟三、高見沢潤子、佐吉純一郎らと共に「たねの会」結成に参加。1994年3月―1995年3月まで、ロンドン大学(SOAS)へ留学。著書に『太宰治と椎名麟三』(1973年、緑地社)、『影と光と』(1981年、ヨルダン社)、『椎名麟三の文学』(1980年、桜楓社)、『作品論椎名麟三』(1989年、桜風社)、『鑑賞日本現代文学25・椎名麟三・遠藤周作』(共著、1983年、角川書店)。個人研究誌『椎名麟三研究』主宰
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