感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はや
9
なんだか不思議な読書体験だった。この書を読んでいて、これと言って引っかかるところがなくスラスラと読める。私が近頃疲れていて集中力が鈍っていることも関係があるかもしれないけれど、おそらくは著者が聖書に根ざした言葉のみ語っていること、自分の考えを述べているのではなくて聖書の言葉を自分の言葉で伝えていることにあるからだと思う。「第二の福音書」とまで言われるゆえんもその点にあるのだろう。信仰を持っている人とまだ持っていない人、聖書を読んだことがある人とまだの人とでは全く違う感想になるのではないかな。2017/04/09
うえ
6
解説「人間を不安にまつわられた絶望的な存在として捉えるこの実存主義的な把握をさらに深刻にするものは、死の問題である」「人間がその悲惨を自覚することは、人間が本来悲惨ではなかった、或いは、悲惨であるはずはないという深層意識から出てくることである…パスカルの言葉を借りれば、「そもそも位を奪われた国王でなくして、誰が国王でないことを不幸だと思うであろうか」人間の悲惨は「位を奪われた国王の悲惨」である。現生活の悲惨は、楽園を逐われた者の悲惨である。それはかつての生活の幸福を暗示する」2015/05/27
北条ひかり
3
6時間7分(フィラデルフィア会・声の文庫、ロゴス点字図書館と音訳者さんに感謝) クリスチャンのほとんどが一度は読む定番。クリスチャンのメンタル・ヘルス本ですな。少なくとも、「天路歴程」のように積読本No.1にはなっていないと思う。でも、僕が馴染んできたバルバロ訳のようには楽しめなかった。翻訳の正確性というか、意訳の度合を具体的に比較したわけではないのだが、僕個人の受け止め方としては、面白く読むならバルバロ訳なのかなあ。2015/07/12
singoito2
2
聖書通読のデザートの1冊。というか本棚の奥から出てきたので何年ぶりか分からないくらい久しぶりに再読。キリスト者必読の書。特に、第4編の聖餐の話は未受洗者配餐をやってる教会の人は絶対に読んで悔い改めるべき。2021/05/05
秋茄子
2
中世の有名な信心書。第二の福音書などと称揚されてきましたが、現代社会で世俗的な生活を送る立場から見ると、かなり厭世的、現世否定的な印象を受けると思います。著者が対象とした読者は、自分と同じ戒律を守って共同生活を送ろうとする、若い修道士たちで、彼らが心折れないように励ます目的で本書を書いたと考えると、納得がいきます。執筆の背景を考慮した上で読まれることをお薦めします。2013/09/01