内容説明
富坂キリスト教センターは、1992年に研究活動を開始して以来、台頭しつつある天皇制の問題に注目し、そのキリスト教とのかかわりを1つの重要な研究課題として継続的に取り組んできた。1995年12月のセンター理事会の承認を得て、翌年3月に発足した「キリスト教と天皇制4」研究会で、毎年3回開かれた研究会における毎回2名の研究員の報告と討論を経て、各自が自らのテーマを選び、自己の執筆責任において寄稿した論文を収録したのが、本書である。研究参加者は大正デモクラシー・天皇制・キリスト教のうち2つないし3つの問題を念頭において自由に執筆することになった。
目次
第1章 河上肇と吉野作造における国家・天皇・民衆
第2章 上杉慎吉論
第3章 近代皇后像の形成―貞明皇后の場合
第4章 廃娼と存娼―その相克と協調
第5章 朝鮮総督府の墓埋政策と民衆の墓地風水信仰―1920年代までを中心に
第6章 1910、20年代における朝鮮の天皇制教育
第7章 羽仁もと子、吉一論―家庭と子どもと婦人
第8章 「大正デモクラシー」と賀川豊彦―天皇制意識との関連で
第9章 近代天皇制とキリスト教―日比谷焼打事件より虎の門事件まで
補論 満州事変下の吉野作造